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・文春砲に先立つ『女性セブン』の記事は、解決済みを強調し、中居に非難が向かわないような書き方
・女性は食事会への誘いも、中居からの意に沿わない性的行為も、断れない立場だった→刑事告訴相応の事案
・この事件はフジテレビの組織的問題、ひいてはテレビ業界の闇の犠牲者との見方も
2024年12月26日発売の「週刊文春」2025年1月2日・9日合併号が、中居正広が、テレビ業界に身を置く女性に意に沿わない性的行為を行い、女性が精神疾患を患った挙句、退社に至った、と報じた。
これに先立つ12月19日発売の「女性セブン」でも報じられていたが、女性と中居とは、示談交渉で合意し、中居は解決金約9000万円を彼女に支払った。
この問題が重大なのは、フジテレビの組織的な問題、もしくはテレビ業界の闇に関わる事件と思われる点だ。断れない立場の女性を中居との食事会に誘ったフジテレビ幹部がドタキャンし、他に来るはずの参加者もドタキャンとなり、女性は中居と密室に2人きりにされていた。女性は、彼女と同じような被害者が他にもいる、と述べている。
事の重大さを考えると、たとえ示談が成立していても、中居が何事もなかったかのように、地上波の番組のMCを務め続けるのは、いかがなものか。筆者個人的には、中居は地上波テレビ番組のMCにはふさわしくないので、引退してもらいたいと思っている。
スポンサーにも、中居がMCを務める番組を提供することの是非を、よく考えてもらいたい。
また、フジテレビに就職したい学生、特に女子学生には、この事件について、周知徹底してもらいたい、と思う。
文春砲に先立つ『女性セブン』の記事は、解決済みを強調し、中居に非難が向かわないような書き方
世間にとって、事の発端は、2024年12月19日発売の「女性セブン」が、中居正広が2023年に女性と密室で深刻な問題が生じてトラブルになり、解決金(示談金)約9,000万円を支払った、と報じたことだった。
あまりの金額の大きさに、一体何をしたらそんな高額な示談金になるのだろう、とネットで話題になった。
今から思えば、「女性セブン」の報道は、本丸の12月26日発売の「週刊文春」2025年1月2日・9日合併号のスクープ潰しで、「解決済み」を強調して、中居に非難があまり向かないようなニュアンスにした、と筆者個人的には推察している。
「週刊文春」の記事によると、文春では被害者のX子さんに、「女性セブン」の記事が出る前と、記事が出た日の、2回にわたって取材をしている。「女性セブン」の記事を読んだX子さんは、記事が中居をあまり断罪しておらず、むしろ解決金をもらったX子さんが悪者みたいになっていることを気にしていて、中居に社会的な処罰を受けてほしいという本音を漏らした。
約9000万円の解決金で合意した際に、双方が一連の出来事を口外しないと守秘義務を約束し、それを破った場合には賠償責任を負うことになったという。
X子さんは、守秘義務を守り、密室で何があったかについては、ひとことも喋っていない。ただ、守秘義務があるのは示談の当事者のみであり、今回は事情を知った周囲の人間から情報が流出したようだ。
「女性セブン」の記事では被害者の名前や勤務先は明かされていなかったが、スポニチSponichi Annexの2024年12月25日4:45配信の記事で、女性は当時放送局に勤務していて、2023年6月頃に発生したこのトラブルから1年たった今夏に放送局を退社、と報じてしまった。
このため、ネットでは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い約1年療養してテレビ局を退社した女子アナであろうと、ほぼ特定されている。また、彼女を中居との食事会に誘っておいて自分はドタキャンしたフジテレビ編成幹部のプロデューサーも、特定されている。
文春の記事では、当事者の女性・X子さんは、「テレビ業界に身を置く」とだけ述べていて、彼女を中居との食事会に誘ったA氏については「X子さんにとって仕事上の決定権を握る、いわば上位の立場」と述べている。
女性は食事会への誘いも、中居からの意に沿わない性的行為も、断れない立場だった→刑事告訴相応の事案
文春の記事は、X子さんは、自分の仕事の決定権を持つ幹部A氏からの誘いを断れず、食事会に参加したら、他の参加者たちの一斉ドタキャンによって、密室で2人きりにさせられ、中居から意に沿わない性的行為を受けた、と報じている。
X子さんは当初警察に告訴も考えたが、自分の名前が公になることを恐れて、見送ったという。スポニチSponichi Annexの2024年12月26日4:45配信の記事でも、女性は当初から性被害に遭ったと主張しており、その旨を勤務先にも報告していた、と報じている。
X子さんが中居から性被害を受けたということであれば、重大な刑事告訴相当事案であり、たとえ示談が成立していたとしても、加害者を、何もなかったかのように許すべきではない、と筆者個人的には思っている。
X子さんは当初、弁護士探しにも苦労したという。芸能界に詳しい弁護士は、相手が中居だと知ると、彼女の弁護を断ってきたという。
筆者はかつてSMAPでは中居が一番好きだったが、もう中居を見たくなくなった。中居をMCに据えた番組のスポンサーも、よく考えたほうがいい。
また、今回の事案は性被害だけにとどまらず、テレビ業界の闇の犠牲となった事件、とみる人も多い。文春の記事中で、X子さんは「私と同じような被害に遭っている子がいます」と述べている。
X子さんが、立場上断れない状況で、意に沿わない性的行為を受け、精神疾患を患って、約1年も療養して退職に至ったとなれば、9000万円という高額の示談金も、辻褄が合っているように思えてくる。
この事件で、筆者の頭によぎったのは、ジャニー喜多川性加害問題だった。規模と登場人物は異なるが、権力を持つ加害者と逆らえない被害者、組織的関与と隠ぺいという点では、似ている。
中居は独立した際に、旧ジャニーズと業務提携したとみられている。その業務提携が、STARTO社に引き継がれているだろうか。そうであっても、STARTO社は性的トラブル事件を起こした中居をかばうのは、やめるべきだ。
この事件はフジテレビの組織的問題、ひいてはテレビ業界の闇の犠牲者との見方も
X子さんの勤務先のフジテレビの幹部が、女性社員を有力タレントの接待要員にさせて、危険にさらしても見て見ぬふりをしていたとなれば、深刻な組織的な問題、テレビ業界の闇、とみられても、仕方がないだろう。
文春の記事によると、X子さんを中居と2人きり食事会に送り込んだ幹部・A氏について、フジ関係者は、松本人志や中居に可愛がられていて、女子アナや女性局員をタレントの“接待要員”として扱ってきた人物、と述べている。
文春はこの事件に関し、A氏やフジの企業広報担当者への取材の試みに加え、銀座の高級鉄板焼店で待ち伏せして、フジの港浩一社長、およびフジサンケイグループ代表でフジテレビ相談役の日枝久(ひえだ ひさし)氏も直撃したが、もちろん否定、もしくは知らない、との回答しか得られなかった。認めるわけがない。
ただ、フジテレビ副会長で日本民間放送連盟会長の遠藤龍之介氏は、ちょっと違うコメントをした。
遠藤氏はもし本当にA氏が女子社員を使った接待を仕切っていたとすれば、「それはちょっとね」「コンプライアンスが厳しくなって、普通リスクが高すぎてやらない」「一発NGじゃないですか」と述べた。A氏はこのままでは済まされない、というニュアンスに思えた。
中居が地上波テレビ番組に姿を見せなくなり、A氏が処分されるだけで、業界の悪しき慣習自体は変わらないようでは、困るのだが。
少なくとも、アナウンサー志望など、テレビ業界に就職したい学生、特に女子学生には、フジテレビで起きたこの事件について、周知徹底してもらいたいところだ。
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