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KAT-TUN Number_i SixTONES Snow Man STARTO/ジャニーズ 北山宏光/ Kis-My-Ft2 堂本剛

ジャニーズがサブスク全面解禁すると、人気グループと不人気グループの格差が拡大へ

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デジタル解禁しなければ世の中に取り残され、解禁すればグループ間格差が拡大へ
ジャニーズのデジタル解禁の現状―KAT-TUNは実験か? 堂本剛がついにデジタルシングルをリリース
ビルボードJAPAN Hot 100で1位を獲りたければ、ファンの絶対数が多いかファンの熱量が高いことが必須
人気がないグループは、CD売上確保のため特典をもっと充実させる

ここ1~2年の間に日本の音楽業界でもデジタル、つまりダウンロードやストリーミング、特にストリーミングが急速に普及した。その結果、オリコンによるCD売上の週間ランキングよりも、ビルボード・ジャパンによる週間総合ソングチャートのJAPAN Hot 100に注目する人が増えてきた。

ビルボード・ジャパンのJAPAN Hot 100は、1つの楽曲について、CD売上、ダウンロード売上、ストリーミング再生数、CDルックアップ(PC・カーナビ・ブルーレイ等によるCD読み取り)、ミュージックビデオ(MV)再生数、ラジオ放送回数、ツイート数(アーティスト名と曲名)、カラオケ使用回数を総合したランキングだ。

特に重要と思われるのは、CD売上とストリーミング再生数だ(下記参照)。昨今では、CDを発売しなくても、ストリーミング再生数が驚異的に伸びて、しかも数週間にわたってチャート上位をキープすれば、1週間だけCD売上が1位になって次週から沈んでしまう曲よりも、確実に世の中に浸透し、ヒット曲とみなされるようになった。

デジタル解禁しなければ世の中に取り残され、解禁すればグループ間格差が拡大へ

しかし、ジャニーズと言えば、所属アーティストのほとんどが、楽曲のデジタル解禁を行っていない。今後、このままジャニーズがデジタル、特にサブスクを解禁しないままだと、ビルボードの半期・年間ランキング上位にも登場せず、音楽シーンでの存在感がどんどん後退しかねない。

では、ジャニーズがついに全面的にサブスクを含むデジタル解禁に踏み切れば、どうなるか? 会社の儲けとしては、安い予算で作ったミュージックビデオ(MV)を特典に付けて利幅を確保しているCDによる収益が落ちる可能性があるし、サブスクの利益など微々たるものだ。

もっとも、CDの特典を工夫すれば、デジタル全面解禁しても、CDの売上は落ちないはずだ(K-POP系アイドルの例で実証済み)。

一方で、世の中がますますビルボード・ジャパンのJAPAN Hot 100を重視するようになると、当然ジャニーズのファンも「ビルボード対策」を行わざるをえない(既に行っているファンもいる。下記参照)。

その結果、ジャニーズの中で売れるグループと売れなくなったグループとの格差が、ますます拡大していく可能性が高いと思われる。

というのも、ビルボード・ジャパンのJAPAN Hot 100で確実に1位を獲るためには、CD売上のみならず、ストリーミング等でも1位かそれに近い上位である必要があるからだ。

ファンの絶対数が膨大なトップアーティストなら、CDを買うファン、ダウンロード購入するファン、ストリーミング再生するファン、お金を使わずMVだけ観るファン、という分業が可能だ。

しかし、ファン数が膨大とは言えないアイドルの場合、一部の熱心なファン(オタク)がCDを「積んで」(多数購入)、ダウンロードでも「積んで」(複数サービスで購入)、ストリーミングとMVを1日中「回す」こと(スミン・MVの「積み」)が必要になる。

ちなみに、デジタル解禁されていないジャニーズのSixTONESやSnow ManやKing & Princeなどの一部の熱心なファンは、既に「ビルボード対策」を行っている(CDルックアップ、MV再生、ツイート、ラジオリクエストなど)。

なお、JAPAN Hot 100では、CDの6万枚超の売上部分は0.1倍の評価に落とされ、LINE MUSICのキャンペーンのおかげでLINE MUSICだけ突出したストリーミング再生回数になると減数調整される、などの注意点がある(2022年5月23日現在)。

ジャニーズのデジタル解禁の現状―KAT-TUNは実験か? 堂本剛がついにデジタルシングルをリリース

ジャニーズでは、活動休止前の嵐は、最後の1年ほどは英語詞曲を配信リリースしていた。これは実験的な試みの意味合いもあったかもしれない。

現在、ジャニーズでCD発売と同時に配信リリースも行っているのは、KAT-TUNくらいだ(29thシングル「We Just Go Hard feat. AK-69 / EUPHORIA」のダブル表題曲2曲のみ同時配信リリース。このほか、ソロでのデジタルシングルも出している)。もしかしたら、KAT-TUNも、ジャニーズのサブスク解禁の偵察隊として、実験的役割を担わされているのかもしれない。

一方で、ジャニーズが一切宣伝しない堂本剛のソロプロジェクト・ENDRECHERIがついに、2022年5月29日(日)0時に、1stデジタルシングル「LOVE VS. LOVE」を世界同時配信リリースすることが決定した(2022年5月29日付「ENDRECHERI(=堂本剛)『LOVE VS LOVE』配信リリース、これは力作!/配信チャート対策(初心者向け)」を参照)。

ダウンロード購入とストリーミング再生が可能だ。日曜リリースにしたのは、週間配信チャートで注目されるのを避けたかったからか?

なお、堂本剛のENDRECHERIプロジェクトに関しては、過去に発売した一部のアルバムおよび名曲「ソメイヨシノ」といった楽曲(単曲)が、既に配信解禁されている。

もっとも、ジャニーズでも、限定的な配信リリースをした例はある。たとえばKis-My-Ft2は2021年12月15日にライブBlu-ray/DVD「LIVE TOUR 2021 HOME」発売記念のライブ披露曲配信として、LINE MUSIC限定で、最新ソロ曲7曲と「Luv Bias –another-」(CDシングル「Luv Bias」は2021年2月24日発売)から成るデジタルアルバム「10th Anniversary Extra -Special Edition-」を、配信リリースした。

現実的には、ジャニーズがデジタル解禁した一部の楽曲で、週間デジタルチャートの1位を獲れたのは、嵐のダウンロード売上くらいだ。

ビルボードJAPAN Hot 100で1位を獲りたければ、ファンの絶対数が多いかファンの熱量が高いことが必須

ビルボード・ジャパンのJAPAN Hot 100では、算出式は非公表で、しかも時折改定されている。音楽ファンが英知を尽くして研究したところ、現時点(2022年5月23日時点)では、およそ次のような関係性があるとみられている。

CD売上が6万枚以下の場合:
CD1万枚 = ダウンロード約6,350DL = ストリーミング再生約141万回

CD売上が10万枚の場合:
CD10万枚 = ダウンロード約3万8,000DL = ストリーミング再生約840万回
(注: CD売上が6万枚超の部分は0.1倍の評価にされる)

総合チャートで1位を獲りたければ、ジャニオタ以外の音楽ファンにもストリーミングで沢山聴いてもらえば楽だが、これには実力があるか、よほど良い曲に恵まれる必要があるだろう。ファン以外が聴いてくれないなら、ファンが頑張ってストリーミングで「回す」(スミンの「積み」)しかない。

そうなると、ジャニーズ内でも毎回1位が獲れるグループと、上位に全く上ってこないグループとの格差が広がるとみられる。1位でなくても、2位や3位ならまだしも、たとえばCD発売週に10位以内にすら入れないとなると、ジャニーズ的には屈辱なのではないか。

人気がないグループは、CD売上確保のため特典をもっと充実させる

もちろん、初週のCD売上ランキングだけに的を絞らざるをえないグループも、出てくるだろう。

しかし、グループ間格差が拡大すると、CD売上の1位(もしくは2位以内)を死守するために、特典をさらに充実させざるをえなくなるグループも、出てくるかもしれない。

アイドルの顔写真入りグッズはもちろん、ハイタッチ会などの接触イベントを復活させたり、1対1のオンライントーク会を開催したり、ライブチケットの一般発売での優先エントリー権を付けたりすれば、売上は大幅増となるだろう。

そこまでしてCDリリースを続ける必要があるのか、と思う人もいるだろう。だが、CDを売って、CD収録曲を引っ提げたコンサートを開いてチケットと高値のグッズを販売し、後日Blu-rayやDVDも販売、という"収益3弾跳び"が確保できるので、採算が採れる限り、まずCDを出す、という流れは変わらないだろう。



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