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・大成功―米国Billboard Hot 100にチャートインすれば素晴らしい
・かなりの成功―Billboard Global 200チャートイン/ iTunesで日本1位、外国50位以内
・より現実的には、日本のチャートで上位ランクインが必要―Billboard Japan Hot 100は5位以内を目指せ
・成功―ダウンロード・ランキングは1位を狙うしかない、ストリーミングは5~10位以内を目指す
・MV再生回数―公開後24時間で100万回超、1週間で1,000万回超を目指せ
ジャニーズJr.の7人組ユニットのTravis Japanが、1stデジタルシングル「JUST DANCE!」を日本時間の2022年10月28日(金)13時(米国東部時間0時、米国西海岸時間の10月27日21時)にリリースして“世界デビュー”を果たす。
では、何をもってこの“世界デビュー”は成功と言えるのだろうか?
実は、ジャニーズには日本以外の国でデビューを飾った先輩がいる。NEWSの派生ボーカルユニットだったテゴマス(増田貴久と手越祐也のデュオ)だ。2006年11月15日にスウェーデンでTegomass名義でシングル「Miso Soup」を発売してから、日本で2006年12月20日に「テゴマス」として1stシングル「ミソスープ」でデビューした。
スウェーデンでは現地のメディアの取材を受け、イベントで500人を動員したと報じられたが、率直に言って、現地でのデビューシングルがヒットした形跡は全くない。
ならば、Travis Japanは、アメリカから全世界に1stデジタルシングル「JUST DANCE!」をリリースして、現地のテレビを含むメディアに出演して、現地のイベントで(日本からツアーで行くファンも含め)数百人以上集客できれば、楽曲が全くヒットしなくても、デビューは成功と言っていいのだろうか? その場合も、おそらくジャニーズ御用メディアは、成功として報じてくれるだろう。
だが、音楽ファンは冷静に、彼らのデビュー曲「JUST DANCE!」がヒットするかどうかを見ている。Travis Japanが音楽ファンに「Travis Japanのデビュー、コケちゃったね」と言われず、「Travis Japanのデビュー、成功したね」と言われるためには、やはりある程度の数字の実績が必要だ。
アイドルであることを加味しても、「成功」とのコンセンサスを得るためには、たとえば以下のチャートの目安をクリアすることが必要だろう。
大成功―米国Billboard Hot 100にチャートインすれば素晴らしい
米ビルボードの米国でのメイン・シングル・チャートはBillboard Hot 100だ。シングルと言うと、今や米国ではフィジカル(CDやレコード等の形のあるもの)ではなくデジタルが主流だ。したがって、主な集計対象は、フィジカル売上、デジタル・ダウンロード売上、ストリーミング再生数、ラジオ放送回数となっている。
集計対象期間は金曜日~木曜日の7日間で、翌週の火曜日にチャートが公表される(チャートの日付はその直後の土曜日のものになる)
日本のアーティストでBillboard Hot 100にチャートインした例としては、古くは坂本九が1963年に「Sukiyaki」で1位、ピンク・レディーが1979年に「Kiss In The Dark」で37位、YMOが1980年に「Computer Game」で60位を獲得した。近年では、ピコ太郎が2016年に「PPAP」で77位、宇多田ヒカルが2019年に「Face My Fears」で98位に登場するなど、チャートインはごく僅かにとどまっている。
K-POPではBTSが2020年に「Dynamite」、2021年に「Butter」「Permission To Dance」「My Universe(Coldplayとコラボ)」で1位、PSYが2012年に「江南スタイル」で2位、2015年に「Gentleman」で5位を獲得しているが、その他の人気グループは、BLACK PINKが最高13位など、2ケタどまりだ。
ジャニーズでは、活動休止前の嵐が2020年9月にブルーノ・マーズ提供曲の「Whenever You Call」など、全編英語詞曲を数曲配信リリースしたが、Billboard Hot 100のチャートインはかなわなかった。
したがって、新人のTravis Japanのデビュー曲がBillboard Hot 100にチャートインできる可能性は低いと思われる。
それだけに、契約した現地の世界的レーベル・ユニバーサル傘下のCapitol Recordsのプロモーションが奏功して、たとえ100位ぎりぎりでも、チャートインできれば大成功と言えるだろう。
かなりの成功―Billboard Global 200チャートイン/ iTunesで日本1位、外国50位以内
米国で最重要のBillboard Hot 100のチャートインを逃しても、ビルボードのグローバル・チャートである Global 200に登場できれば、成功したと言えるだろう。このチャートには、人気K-POPグループは常連として登場しているが、日本からは現在YOSASOBI、藤井風など、一部の人気アーティストしかチャートインできていない。
一方、各国のiTunesのダウンロード売上ランキングである iTunesトップソング・ランキング(デイリー)はK-POP勢の注目度が高いので、日本でなるべく1位(最低3位以内)かつ、日本以外のどの国でもいいからTOP50程度以内にチャートインできれば、成功と思われる。
より現実的には、日本のチャートで上位ランクインが必要―Billboard Japan Hot 100は5位以内を目指せ
世界配信ということは、当然日本でも配信されるから、日本のチャートで好成績を上げておかなければ、将来の日本でのCDデビューに不安が残ることになる。
CD売上ランキングだとオリコン・ランキングを思い浮かべるジャニーズ・ファンがほとんどと思われるが、配信慣れした日本の一般音楽ファンは、オリコンよりもビルボードのチャートを重視している。
最も注目度が高いのは、ビルボード・ジャパンによる週間総合ソングチャートの Japan Hot 100だ。このチャートは、CD売上に強いアーティストとストリーミングに強いアーティストが互角に戦えるように設計してあるため、CDを出さずデジタル・リリースのみの人気アーティストでも1位が獲れることがよくある。
逆に、ジャニーズ勢でも、CD売上でオリコンの週間1位が獲れていても、ビルボードのJapan Hot 100の1位が獲れないグループもある。また、リリースの週だけ見てライバルがいないと思っても、大人気アーティストだと数週間にわたって1位を獲り続ける例もある。
Travis JapanがCDなしのデビュー曲「JUST DANCE!」でビルボードのJapan Hot 100で1位を獲るのは、かなり難しいと思われるが、5位以内に入ればとりあえず成功と思われる。
成功―ダウンロード・ランキングは1位を狙うしかない、ストリーミングは5~10位以内を目指す
ダウンロードのみのランキングは、1位が狙いやすいので、ビルボード・ジャパンの Download Songsチャート、オリコンのデジタルシングル(単曲)ランキング(ダウンロード売上のみが対象)のリリース日の週間ランキングで1位が獲れれば成功だ。リリース日が金曜しかないので、リリース週は3日間の勝負となる。大前提として、リリース日のデイリーランキングでの1位は必須で、ここで1位が獲れなければまずい。
ストリーミングのランキングは、日本のアイドルには難関だ。ビルボード・ジャパンのStreaming Songsランキングで10位以内、オリコンの週間ストリーミング・ランキングで5位以内に入れば、かなりの成功と思われる。ちなみに、ビルボード・ジャパンではキャンペーンによる再生回数かさ上げの影響を調整するが、オリコンでは無調整だ。
なお、国内のアイドルオタクの利用の多いLINE MUSICでは、最低でもデイリー1位を達成したいところだ。
MV再生回数―公開後24時間で100万回超、1週間で1,000万回超を目指せ
直接的なチャートの順位ではないが、Travis Japanのデビュー曲「JUST DANCE!」のYouTubeのミュージックビデオ(MV)の再生回数にも、注目が集まるのは必至だ。特に、ジャニーズの若手人気グループのSnow Man、SixTONES、King & Prince、なにわ男子の再生回数と比べられるのは避けられない。
より一般的にみて、MVの再生回数は、公開後24時間で100万回を超えていれば、ひとまず成功とみなされるだろう。公開から24時間以内に100万回超え、1週間以内に1,000万回超えであれば、堂々とPRできるだろう。
もちろん、レーベルがMVのYouTube内広告を出して、見かけの再生回数を上げるという手もある。ファンの頑張り次第で再生回数を上げることは十分可能だが、繰り返しボタンを使ったり、無料プランで広告を30秒以上見なかったりすると、カウントしてもらえない点は、注意を要する。
Travis Japanの記事:
2022年9月29日付 Travis Japanが世界デビュー決定、2022年10月28日にデビューシングルを全世界配信
2022年9月27日付 Travis Japanを米ビルボード誌がインタビュー、辛口コメントも/ 早期米国デビューは無理、早く日本でデビューを
2022年9月8日付 Travis Japanが『America’s Got Talent』準決勝敗退―ジャニーズには誤算? CDデビューはどうなる?
2022年7月13日付 Travis Japanが米国の人気オーディション番組『America’s Got Talent』に出演、初ステージ大成功
2022年5月13日付 Travis Japanが6月に米国でフェス出演決定―これってKCONに似たJCON的イベント?
2022年4月9日付 韓国メディアがジャニーズのTravis Japanの米国留学に関心を示す
2022年3月28日付 Travis JapanがWorld of Dance Championship米国地区予選を3位で通過
2022年3月11日付 SixTONES京本大我率いる『京本会』中核メンバーはTravis Japanの3人、一緒に音楽活動をしてきた
2022年3月4日付 Travis Japanが渡米しLAでダンスレッスン、ボイトレ、語学習得
2021年9月6日付 Travis Japanが嵐『Love so sweet』ダンス動画をグループのみならず個人別でも公開、再生数格差がシビア
2021年9月1日付 Travis JapanがYouTubeダンスチャンネル/ SixTONESライブBD/DVD『on eST』2021年10月20日発売決定