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・株主はジュリー氏1人、ジュリー氏は時価約2,700億円の企業を1人で所有のお金持ち→賠償金はどこから出す?
・タレント出演料を受け取らなくても、内部留保、ファンクラブ会費、イベント物販収入、不動産収入がある
・ネットに転がっている『ファンクラブ会員数』は実態を大幅に過大評価している
・もし不動産売却を始めたら、倒産リスクが増している兆候かも
ジャニーズ事務所は2023年9月13日に、公式サイトのインフォメーション(https://www.johnny-associates.co.jp/news/info-714/)の中で、「後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と告知した。筆者個人的にはこれは、所属タレントの流出防止策と思っている。
1年間出演料の事務所の取り分がなくても十分経費を払えるだけの内部留保の蓄積があるとも言える。そこで、関心を呼んだのが、株式非公開企業であるジャニーズ事務所の売上や資産価値などの財務内容だ。
株式非公開企業だから、正確な売上や諸経費、利益などの金額を知っているのは、社内の財務経理担当者や幹部以外では、税務署、税理士、取引先金融機関やその関連の調査会社などに限られる。
それでもどこから漏れたのか、2022年12月期の年間売上が800億円程度、企業価値の推定額が約2,700億円、グループ全体の社員数は約500人、という興味深いメディア報道があった。
これは、現代ビジネスの2023年9月14日配信記事「算定されたジャニーズ事務所の『驚きの企業価値』…買収を諦める大手芸能プロ、そして『巨艦』を舵取る東山新社長の苦難」だ。
株主はジュリー氏1人、ジュリー氏は時価約2,700億円の企業を1人で所有のお金持ち→賠償金はどこから出す?
記事の数字が正しいと仮定すると、まずは企業価値だが、株主は藤島ジュリー景子・前社長1人だから、ジュリー氏は時価約2,700億円の企業を1人で所有していることになる。他にも個人の預金などの金融資産もあるだろうから、今のところはとてつもない「お金持ち」だ。
その資産の中には、長年にわたり空前の規模の性犯罪をしてきたジャニー喜多川元社長や、隠蔽したメリー氏から相続した遺産の分もあるだろう。賠償金は、被害者側の立場だったタレントやヒラ社員が汗水流して稼いだお金から払うのではなく、ジュリー氏が自分の巨額の保有財産から払うべきではないか。
しかし、ジュリー氏はまだ社会人でない娘もいて、自分の個人資産を減らすことはなるべく避けたいだろうから、あくまでもジャニーズ事務所という企業が賠償金を支払うことを前提とすると、やはり売上の行方が気になる。
上記の年間売上約800億円という数字は、2016年初めに勃発したSMAP騒動の直前の年間売上と言われた約1,000億円からは減少しているが、一般的には巨額の売上だ。
ちなみに、K-POPの最大手にのし上がったHYBEの売上は、2023年の上半期(1~6月)だけで1兆316億ウォン(約1,126億円)だった(Kstyleの2023年8月8日配信の記事を参照)。6カ月だけで約1,100億円で、年間約800億円のジャニーズを大幅に上回っている。
タレント出演料を受け取らなくても、内部留保、ファンクラブ会費、イベント物販収入、不動産収入がある
ジャニーズは今後1年間はタレントの出演料を受け取らないから、その分の売上は減少する。
それでも従業員の給与などの経費を払いながらやって行けるつもりでいるのは、蓄積された内部留保に加え、印税などの権利収入、ファンクラブ会費収入(年年会費4,000円×会員数)、イベント・物販収入、不動産収入などがあるから、とみられている。
このうち、印税などは過去の活動から発生しているものもあるだろうが、タレントが離脱すれば必然的に減るのがファン数で、ファン数に直結するファンクラブ会費収入やイベント・物販収入も減る。だから、音楽活動を継続していてファンが多いタレントを、手放すわけにはいかない。
ネットに転がっている『ファンクラブ会員数』は実態を大幅に過大評価している
注意したいのは、実態を知らない記者・ジャーナリスト氏による、ファンクラブ会費の過大評価だ。
ジャニーズ事務所は正確なファンクラブ員数を公表していない。記者・ジャーナリスト氏の中には、ネットでオタクたちが集計している新規会員番号のみに基づいた「延べ」会員数の参考値を、現在の実際の会員数と勘違いしている人も多い。
上記の記事や、他のいろんなネットメディアの記事で引き合いに出されているのが、巨額のファンクラブ会費で、何百万人もの会員が1人年間4,000円払ってくれるから、タレントの出演料が1年間なくてもやって行けるだろう、との見方が多い。
ただ、ジャニーズ事務所は正確なファンクラブ会員数を公表したことはない。ネットで出回っているファンクラブ会員数は、ファンクラブに新規入会すると割り振られる会員番号をファンがSNSに書き込んで、情報交換し合っているものを、オタクが集計しただけだ。
実は筆者も過去に、同じやり方でジャニーズの各グループのファンクラブ会員数の参考値を集計した記事をブログに公開していたオタクの1人だった。SNSをチェックして、「キンプリのFC入会しました!会員番号はXX番」という書き込みを見つけて、最大値のものを記録していくのだ。
だから、会員番号に基づくファンクラブ会員数が、実際の会員数を大幅に上回ることは、オタクならよ~く分かっている。退会しても永久欠番にされるだけだから、会員番号は一貫して増え続けるのだ。
筆者自身、過去にジャニーズの3つのグループのファンクラブ会員だった。つまり3人分の会費を払っていた。グループが違うから、会員3人扱いで、会員番号が3つあった。
しかし、既に3つとも、年会費を払うのをやめることで、「自動退会」となった。違反行為をして罰せられ資格停止処分にされない限り、ファンクラブをやめる手段は、年会費を払うのをやめる「自動退会」しかない。
筆者が退会しても筆者のものだった3つの会員番号は、永久欠番になっただけで、新しい会員に割り振られることはない。また、筆者がもし再入会すれば、新しい会員番号を割り当てられることになる。つまり、ネットでオタクが集計している新規会員番号に基づく「ファンクラブ会員数」参考値は、右肩上がりに増え続け、減少することはない。
その実態を知らない人が鵜呑みにしている、ネットに転がっている、過大評価された「ファンクラブ会員数」は、たとえば嵐が308万人、Snow Manが121万人、King & Princeが105万人、などとなっていて、全グループを合計すると1,000万人を超えることになる。
日本国民の10人に1人がジャニーズのファンクラブ会員? そんなワケがない。筆者のように、年会費を払うのをやめるか、あるいは払うのを忘れて「自動退会」した人は沢山いる。
特に、デビューして何年も経過したグループや、メンバーが脱退したグループのファンクラブ会員数は、ネット上のオタクの集計した参考値よりも、かなり少ないはずだ。おそらく半分以下だろう。そもそも、CDの売上をファンクラブ会員数が大幅に上回るのはおかしい、と気づかないのはジャニオタ事情に疎い人だ。
ファンクラブ会員の全員がずっとファンクラブ会員にとどまることはない。自担(推し)がジャニーズを退所すれば、次の年の年会費は払わず、自動退会となり、移籍先で開設されるファンクラブのほうに入会するまでだ。
それでも、ネットに転がっているジャニーズのファンクラブ会員数の参考値が減ることはなく、増え続ける。それを見て本当のファンクラブ会員数だと勘違いしている人の売上予想など、信じてはいけない。
もし不動産売却を始めたら、倒産リスクが増している兆候かも
それよりも興味深いのは、現代ビジネスの記事中で、ジャニーズ事務所が保有する不動産の価値が本社ビルが100億円、それ以外の保有不動産が1,000億円近いとの記述だ。もしジャニーズ事務所が保有不動産を売却し始めたら、もしかしたら倒産の危機が迫っているのを感知したからかも、と捉えることとしよう。
ところで、ジャニーズの取引金融機関はどこだか知らないが、普通、金融機関は犯罪を犯した企業との取引をやめたり、厳しく対応したりするものだと思うのだが・・・。一流の外国の金融機関だと、健康に有害なたばこを製造する会社への融資をしない方針のところすらある。犯罪資金をマネーロンダリングした企業への融資を禁止している金融機関は当たり前に存在し、海外の工場で子供の搾取など重大な人権侵害を行う企業への融資を手控える金融機関もいると思うのだが?
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