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・1970年のメリー氏から編集者への圧力の電話→その後もずっと続いているわけではない
・競争があったほうがレベルアップ・活性化につながる
2022年4月15日に青志社から刊行され、"ノンフィクション"と銘打ってある小菅宏氏著の「女帝 メリー喜多川」について、メリー(本名は藤島メリー泰子)氏がかつて副社長・会長・名誉会長を務めたジャニーズ事務所が、自社公式サイトの2022年4月21日付の「ファンの皆様・関係者の皆様へお知らせ」で、抗議を表明している。
1970年のメリー氏から編集者への圧力の電話→その後もずっと続いているわけではない
発端となった、単行本「女帝 メリー喜多川」の部分は、小菅氏が集英社で雑誌「週刊セブンティーン」の編集を担当していた1970年11月15日の朝の7時に、メリー氏からかかってきた電話の、以下の内容だ。
「今週号の発売をストップしてちょうだい。聞いている? コスガさん」「何ですか今週号は。***グループが載っているじゃないの。彼らと同じ号なんてウチの子は載せられない。だからすぐ***グループを除外するか、発売を止めてちょうだい」
小菅氏が「メリーさん、そんなこと(発売中止)できません」と突っぱねると、メリー氏は「コスガさん、発売を中止するの? 今日のウチの子の撮影を中止するの? どっちか判断してちょうだい」と言ったという(注: その日はジャニーズのジューク・ボックスというグループのロケがあった)。
この本の著者の小菅氏について、ジャニーズ事務所のお知らせには、「著者である小菅宏氏は、(中略)仕事上の関係性が50年にわたって続いていた、と読み手が誤認するような表現で言及されていることから、正確性に欠けております。実際には、小菅氏が出版社の担当編集者を務めていた40年ほど前が事実上、関わりがあったということができる最後の時期であり、その後のやりとりは数えることができる程度でございます」と書かれている。
文字面だけだと分かりにくいが、上記の1970年11月15日のメリー氏の電話での小菅氏への圧力とも言えそうな発言については、否定していないが、その後50年にわたって同じようなことが続いたわけではない、と主張しているようだ。
ちなみに、ジャニーズ事務所が抗議コメントだけ発表して、訴訟は起こさないというのは、珍しいという(日刊ゲンダイの2022年6月1日配信の「ジャニーズ事務所が猛抗議 話題の非公認本『女帝 メリー喜多川』ファンの賛否が分かれるワケ」を参照)。
競争があったほうがレベルアップ・活性化につながる
筆者がアイドル中心の雑誌を調べてみたところ、ジャニーズの一部の(あまり推されていない)グループが、ジャニーズ以外の国内ボーイズグループと同じ雑誌に登場していることは珍しくなくなった一方で、ジャニーズの若手看板グループ(King & Prince、Snow Man, SixTONES、なにわ男子)が、非ジャニーズ国内ボーイズグループと同じ雑誌に登場することはほぼない。
こういうしきたりは、上述のような、1970年頃のメリー氏の交渉術で確立されたものなのかもしれない。
ついでに、テレビ朝日系「ミュージックステーション」に非ジャニーズ国内ボーイズグループが出演できなくなったきっかけが、ジャニー喜多川前社長の指示によるwinds.出演回のKinKi Kidsボイコット事件だった、という真偽不明のネット情報が、正しいか否かを究明するノンフィクション本が出たら、大注目となるだろう。
しかし、「Mステ」は今も続いている番組なので、そういう本が出ることはない。
競争があったほうが、レベルアップにつながるし、業界も活性化するから、望ましい。独占が続けば、レベルアップの機会が失われて停滞し、やがて衰退するリスクが上がるだろう。
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