ジャニーズ

ジャニーズ事務所が性加害で会見、新社長に東山―転換点。謝罪は前進だが違和感も/ メディア/ カギはスポンサー企業

スポンサードリンク

(目次)・TOP
隠し事もありそうだが、謝罪は大きな前進/ 東山社長が抱える過去のハラスメントという爆弾
100%明らかにはしていなくても、精一杯の誠実な姿勢が垣間見えた井ノ原快彦
問題はジャニーズの権力増大とメディアとの利益共同体―報道せず性加害隠ぺいに協力したメディアの罪深さ
記者会見を見て浮かんできたワードは『因果応報』そして『普通の感覚の麻痺』/ カギを握るスポンサー企業
余談: ジャニーズ忖度番組の『Mステ』が今さら変われるのか?→打ち切りでいい、他番組に期待

2023年9月7日(木)14時より、ジャニーズ事務所がジャニー喜多川元社長の性加害問題についての記者会見を、4時間12分にわたって開いた。

筆者は過去に熱心なジャニオタだった時期があったので、会見の半分以上はリアルタイムで観ていた。元々この件についてここに書くつもりはなかったのだが、日本の芸能界において歴史に残るような大きな出来事になるかもしれない予感があるので、簡単に感想をまとめておきたい。

出席したのは、9月5日で代表取締役社長を辞任した藤島ジュリー景子・代表取締役(57)、代わって代表取締役社長に就任した東山紀之(56)、ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦(47)、木目田裕弁護士、の4人だった。

隠し事もありそうだが、謝罪は大きな前進/ 東山社長が抱える過去のハラスメントという爆弾

東山が社長に就任したことは、直前のメディア報道で知っていたし、ジュリー氏が逃げずに出席したのは良かった。ただ、文春裁判も含め、長年にわたるジャニーズ事務所の“暗部”を知り尽くした人物とみられる広報担当の白波瀬傑・代表取締役副社長が、ジュリー氏と同時に引責辞任して、会見に出席しなかったことは、上手く逃がしたな、という印象だった。

ジュリー氏と東山の話しぶりを観察すると、本当は知っているのに知らないフリをしていることがまだあるな、という印象を受けた部分はあった。

特に、東山がジャニー氏の性加害について「噂としては聞いていましたが、私自身は被害を受けたことはないです」と述べたり、自身の若い頃の後輩へのハラスメント(セクハラを含む)疑惑を「していません」と言い張ったり、暴露本を「読んでいません」と言いながら内容が事実でないと主張したり、最後は「覚えていない。あったかもしれないし、なかったかもしれない」と言ったあたりだ。

筆者は東山のパワハラに関しては、今回初めて知ったので、驚いた。会見での記者の言葉を聞いた限りでは、ジャニー喜多川のような明らかな重大な性犯罪ではなく、セクハラとパワハラに分類されるもののようだ。東山は何らかの爆弾を抱えた状態で社長に就任したことになる。

本人も半分ヤケ気味に、自分が適任だったかどうかは、後で判断してください、との旨を漏らしていた。ハラスメントの深刻さの程度は、今のところは分からない。若気の至りという面があったのであれば、世間は今後の社長としての態度次第と思うだろう。

マネジメントの立場になると、どうしても洗いざらい全て喋るわけにはいかない事情もあるだろうから、まあそんなものかな、とも思った。

隠し事はまだあるが、東山もジュリー氏も、ジャニー喜多川の性加害を認めて謝罪したのは大きな前進だったし、今のところはきちんと被害者に対応するつもりであることは、嘘偽りではないと思えた。

100%明らかにはしていなくても、精一杯の誠実な姿勢が垣間見えた井ノ原快彦

井ノ原は、ジュリー氏や東山に比べると、隠しごとは最小限に抑えて、本音で一生懸命誠実に話そうとしている姿勢が伝わって来た。ジャニー氏の性加害については、「そういった(暴露)本が出ていたので、周りでそうなのかな、そうなったらどうしようという話はしていました」「得体の知れない、それには触れてはいけない空気がありました」と話していた。

筆者は100%鵜呑みにはしないが、井ノ原がジャニーズJr.に対して自分が性加害はしないが権力は持つ危険性があるとよく認識しているあたりは、誠実で信頼できそうな気がした。

問題はジャニーズの権力増大とメディアとの利益共同体―報道せず性加害隠ぺいに協力したメディアの罪深さ

会見の模様を観ているうちに筆者が改めて思ったことの1つは、熱心なジャニオタだった当時から、SMAP騒動などで、ジャニーズ事務所の上層部のやり方、特にパワハラ気質の故・メリー氏に代表される権力主義が嫌いだったことだ。

もう1つ、今に至るまで嫌気がさしていることは、足がつかないよう巧みにメディア支配を続けるジャニーズ事務所と、ジャニーズ事務所に忖度し続ける御用メディアやテレビ局などとの利益共同体体質だ。

元々、辞めジャニを干したり、共演NGにしたり、競合するボーイズグループも共演NGにしたりなどの弊害は枚挙にいとまがなかった。だが、それ以上に、ジャニー喜多川の性加害を報道しなかったがために犠牲者が増え続けたという事実が、日本のメディアの歴史に是非とも残さなければならないと思えるほど、非常に深刻で罪深い。

そうやって隠ぺいに加担したメディアも、ジャニーズ事務所が被害者に払う賠償金にお金を拠出すべきではないか。

今回初めて、実はジュリー氏とメリー氏は、世間一般の仲の良い、何でも話せる母と娘の関係ではなく、確執めいたものとか距離感みたいなものがあって、特殊で難しい関係にあったことに気づいた。実の母とも何でも話せない関係だったから、いわんや叔父のセクハラ問題について話せるわけがなかったのは、何となく分かった。

それでも同情できない。文春訴訟当時に既にジュリー氏は取締役にあったので、事実関係の解明や被害防止策に動かなかった不作為の責任は免れない。さらに、性加害問題で激震が走る直前まで、ジュリー氏は周りを白波瀬氏などの側近で固めてオキニ・タレントを優遇し、滝沢秀明や元キンプリの平野ら非オキニを冷遇し、メリー氏と同様の独裁者への道を辿りつつあった。

記者会見を見て浮かんできたワードは『因果応報』そして『普通の感覚の麻痺』/ カギを握るスポンサー企業

記者会見を見て浮かんできたワードは「因果応報」と「普通の感覚の麻痺」だ。

加害者のジャニー喜多川が既に死去したから不起訴だし、時効が過ぎていたり、そもそも昔は少年への性加害を罰する法律すらなかった、という理由で、夢を挫かれ、長年にわたり苦しんできた犠牲者に対応しない人権侵害企業がのうのうと繁栄を続けるような社会でなくて良かった。

因果応報。奢れるものは久しからず。

社名変更については、記者会見前には、社名を変えさえすれば済むと思っている、との批判的な意見が多かったと思う。

しかし、いざ記者会見で東山が社名変更は今は考えていないと明かすと、今度は未曾有の性犯罪を犯したジャニー喜多川の名前を冠した社名など、「ヒトラー株式会社」や「スターリン株式会社」と同じだ、という批判が起きて笑えた。

そんな日本史上最悪規模の未成年に対する性犯罪者の名前を冠した社名が恥だと気づかないジュリー氏や東山をはじめとするジャニーズの人たちは、世間一般の“普通”の感覚が麻痺しているように思えた。

今回改めて危惧を抱いたのは、記者会見の場にはテレビ局の報道担当者が来ていて、それなりに質問をしていたが、結局のところ、スポンサー企業がジャニーズ離れしない限り、テレビ局の報道以外の上層部がジャニーズを守ろうとする“習性”は、そう簡単に変わらない可能性があることだ。

民放は所属タレントに罪はないと言うが、出演料はジャニーズ・タレントにだけでなく、当然ながら、経営トップが長年にわたり卑劣な性犯罪を犯した企業であるジャニーズ事務所の懐にも入っている。これがおかしいという感覚がないテレビ局の思考も、ジャニオタも、世間一般の“普通”の感覚とズレている。日本の恥だと思う。

筆者が考える正しい解決策は、所属タレントはジャニーズから出て、別の事務所に移籍し、性犯罪を犯したジャニーズ事務所は解散・清算することだ。「移籍したらジャニーズ時代の曲が歌えなくなる」という見方は間違っていて、法的には、権利者であるジャニーズ事務所に使用料を払えば辞めジャニもジャニーズ時代の歌を歌えるはずだ。

しかし、ジャニーズ事務所の新経営陣もテレビ局なども、ほとぼりが冷めたらまたジャニーズが復権して利益共同体としてやっていける、と考えているように見える。そんなことだから、テレビも因果応報の未来が見える。実際、テレビは斜陽産業になりつつある。

結局は、スポンサー企業がどうするかが、カギを握っているのだろう。スポンサー企業は、未曽有の許しがたい性犯罪を犯した企業にお金を提供し続けることが、正しいと思っているのか?

余談: ジャニーズ忖度番組の『Mステ』が今さら変われるのか?→打ち切りでいい、他番組に期待

最後に、記者会見中に、突然テレビ朝日の「ミュージックステーション」にジャニーズと競合する国内男性グループが出演できていないことが質問したジャーナリストの話題に上り、具体的にJO1とかの名前まで出た。

筆者も1年くらい前までは、忖度番組として知られる「Mステ」に、ジャニーズと競合する国内男性グループにも門戸を開いて欲しいと思っていた。だが、今はその段階を通り越して、前時代の遺物と化した「Mステ」など、さっさと打ち切りにして、新しい、忖度しない音楽番組をスタートさせて欲しい、と思っている。

とはいえ、テレ朝の上層部はジャニーズ忖度がひどい模様だし、所詮はジャニー喜多川のジャニーズJr.スキンシップの場にもなったJr.練習室を提供していた会社だから、期待薄だ。

もっとも、別にテレ朝の音楽番組が必要なわけではない。分け隔てなく出演者を集めるTBS系「CDTVライブ!ライブ!」が「Mステ」をしのぐ、日本を代表する音楽番組になればいい。

また、フジテレビで吉本興業の重鎮のナインティナインが新しい音楽バラエティ番組「週刊ナイナイミュージック」を、10月11日(水)23時にスタートさせることになった。こちらも、旧態依然の「Mステ」の不要論を巻き起こせるような、公平で良質な音楽番組に育つといいな、と思っている。

[PR]


スポンサードリンク

-ジャニーズ
-, , , , , , , ,