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ジャニー喜多川性加害で米ネバダ州で465億円の巨額賠償訴訟!注目点は?

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米国での賠償訴訟のポイント―時効なし、勝訴なら巨額賠償金、被告にジュリー氏、白波瀬氏、STARTO社らも
まずは米国での裁判まで漕ぎつけられかどうかに注目
STARTO社が訴えられた理由は? 関連会社うやむや問題を含め、SMILE-UP.社との経営分離をきちんと説明すべき
裁判になって巨額の賠償金支払いが実現する場合の影響―次々と訴訟が起こされる可能性も

米国時間の2024年12月18日(日本時間12月19日)に、ジャニー喜多川性加害問題に関し、元Kis-My-Ft2の飯田恭平氏と元関西ジャニーズJr.の田中純弥氏が、計3億ドル(約460億円)以上の賠償を求めて、SMILE-UP.社、藤島ジュリー景子氏、白波瀬傑氏、STARTO ENTERTAINMENT社らを相手取って、米ネバダ州クラーク群の裁判所に提訴した(Arc Timesの2024年12月23日配信の記事を参照)。

米国での賠償訴訟のポイント―時効なし、勝訴なら巨額賠償金、被告にジュリー氏、白波瀬氏、STARTO社らも

訴状によると、ジャニー喜多川は2002年8月16日からジャニーズJr.らを連れてラスベガスに行って、ミラージュホテル(現MGMグランド)に3泊した際に、当時14歳だった飯田氏に3泊とも性加害を行った。

また、ジャニー喜多川は1997年3月にジャニーズJr.らと同ホテルに3泊した際に、当時15歳だった田中氏に性加害を行った。

今回の訴訟には、幾つかのポイントがある。

まず、ネバダ州では、今回の未成年者への性加害のケースには時効がない(NHKニュースサイトの2024年12月19日配信の記事)。

米国の裁判では、社会的に強い非難に値する行為について、再発防止の観点から、通常の補償的損害賠償に加え、「懲罰的賠償」が認められている。今回の請求額には、両原告の補償的賠償のそれぞれ5,000万ドルずつ、懲罰的賠償のそれぞれ1億ドルずつが含まれている。

SMILE-UP.社が2024年8月27日付「日刊工業新聞」で公開した、2024年6月期の決算によると、納税・配当支払いなどをすべて終えた後の、利益剰余金が2,639億円に達していた(FACTA ONLINEの2024年11月号BUSINESS、およびgamebizの2024年8月27日配信の記事を参照)。

この金額を見る限り、465億円の損害賠償金を払える余裕はありそうだ。ただし、今回の訴訟が原告勝訴に終わった場合、他にも損害賠償訴訟を起こす被害者が何人も出てくれば、SMILE-UP.社が破産する恐れもあるだろう。

訴えられた被告は以下の通りで、ジュリー氏をはじめ、加害行為を予見できたにもかかわらず、適切に対処しなかった関係者らの責任も、追及される。

・ジャニーズ事務所
・SMILE-UP.社
・STARTO ENTERTAINMENT社
・藤島ジュリー景子氏、
・白波瀬傑氏(ジャニーズ事務所の元広報担当副社長)
・伊豆喜久江氏(ジャニーズ事務所元取締役、ジェイステーション代表取締役社長)
・矢崎政実氏(取締役制作部長)
・矢田次男弁護士(ジャニーズ事務所顧問弁護士)
・MGMグランド(性加害の現場となったホテルの運営会社)

まずは米国での裁判まで漕ぎつけられかどうかに注目

この提訴に対し、SMILE-UP.社は、「今回、米国で訴訟を提起されたと報じられている方々は、従前、日本国内にお住まいであり、米国の裁判所には管轄は認められないものと考えております」などとコメントしている。

日本の場合だと、犯罪訴訟の裁判所は、犯罪地または被告人の居住地、とされている。ただし、捜査を行う関係もあり、犯罪地になることが多い。

訴訟を起こされても、すべて裁判になるわけではない。しかし、法廷闘争になると、SMILE-UP.社は日本で性加害を認めて、既に被害者に補償金を支払っているため、今さらジャニー喜多川が無罪との主張をするわけにはいかない。

STARTO社が訴えられた理由は? 関連会社うやむや問題を含め、SMILE-UP.社との経営分離をきちんと説明すべき

一方、STARTO ENTERTAINMENT社は「当社はSMILE-UP.とは資本関係を有せず、また経営も分離した全く別の法人として設立されました。米国における約465億円の賠償を求める訴えについては当社は無関係の立場にあり、本件について提訴される理由がないため、大変困惑しております」などとコメントしている。

ただ、STARTO社は、株主構成を明らかにしておらず、STARTO社のビジネスと切っても切り離せない著作権等の知的財産権の管理会社やファンクラブ運営会社といった重要系列会社は、旧ジャニーズ時代から存続していて、資本構成も不明だ。

原告側はそこに目を付けて、ジャニー喜多川元社長時代の旧ジャニーズ事務所の時から資産を積み上げてきた系列会社が、STARTO社のビジネスのために引き継がれているから、STARTO社も訴訟対象、と考えているようだ。

こんなことになるなら、ファンクラブ運営会社は「愛着のある会員番号」を維持するために存続させず、いったん閉鎖して、STARTO社が新規に開設すべきだったかもしれない。ジュリー氏も、Travis JapanのLA公演の現場に姿を見せて、あらぬ誤解を招くべきではなかったかもしれない。

ということで、今回の訴訟は、STARTO社が、うやむやになっている関連会社の件をきちんと説明し、SMILE-UP.との完全な経営分離を証明する、良い機会となるかもしれない。

STARTO社が提訴される是非については、STARTO社がSMILE-UP.との経営分離をしっかり証明した上で、裁判所の判断を待つことになる。

裁判になって巨額の賠償金支払いが実現する場合の影響―次々と訴訟が起こされる可能性も

整理すると、まずは米国で実際に裁判が始まるかどうかを見守りたい。裁判になる場合、既に日本で被害者に補償金が支払われているので、判決でも和解でも、被害者にお金が支払われるとみられ、かなり高額になる可能性もある。世界中で大大的に報道されそうだ。

高額賠償金の支払いが確定すると、他の被害者も米国で訴訟を起こす可能性があり、次々と訴訟が起こされるようだと、SMILE-UP.社が破産するリスクも浮上するだろう。

当然ながらSTARTO社は、自社に被害が及ばないように、手を尽くすだろう。筆者個人的には、今のところ心配はしていないが、万一懸念が強まるようなら、タレントの退社が増えるかもしれない。

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