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・はじめに―ビルボード・ジャパンのデータの特徴とSTARTO勢への影響
・CDアルバム―Snow Manが1・2位、STARTO勢はソロ作品が急増
・CDシングル―STARTO勢が後退、競争激化・デジタル解禁で甘くない展開
・配信チャートと総合チャート―STARTO勢はデジタル解禁後にグループ格差、TOBEのNumber_iは全般に強い
ビルボード・ジャパンが2025年年間チャートを2025年12月4日に公開た。Snow ManはCDアルバム売上で1・2位、CDシングル売上で2位だった。その一方で、CD売上ランキングにおけるSTARTO勢の存在感は、後退しつつある。また、デジタル解禁後のSTARTOのグループ間の格差は大きい。
TOBEのNumber_iはCD売上でもデジタル（ダウンロード、ストリーミング）でも強さを見せていいる。ただ、TOBEで強いのがNumber_iだけなのは気になる。
はじめに―ビルボード・ジャパンのデータの特徴とSTARTO勢への影響
ビルボード・ジャパンの2025年年間チャートは、集計期間が2024年11月25日（月）～2025年11月23日（日）となっている。
ビルボード・ジャパンのCD売上枚数のデータは、サウンドスキャンジャパンのバーコード読み取りデータに基づいており、日本国内でのCD売上の9割以上がカバーされていて、一部のみ推定となっている。
オリコンではCDの「積み」の間引きの減算調整（聴かれないCDのペナルティー）が実施されていて、K-POP系アイドルで常態化しているイベント特典が付いているCDだと、実売数よりもかなり少ない数字が売上として発表されることも珍しくない。しかし、ビルボード・ジャパンではその種の減算調整は行っていないので、売上の発表値は実売数に近い。
このため、CDを積むファンが少ないSTARTO勢の順位は、オリコンで有利になりやすく、ビルボード・ジャパンでは不利になりやすい。
CDアルバム―Snow Manが1・2位、STARTO勢はソロ作品が急増
ビルボード・ジャパンでは、2025年のCDアルバム売上チャートTop Albums ChartでTOP20入りした作品の年間売上枚数を記事で公開しているが、21位以下は2025年12月5日時点で、売上枚数は非公開となっている。
2025年の年間CDアルバムランキングでは、STARTO勢は1・2位のSnow Manを筆頭に、グループ12作品・ソロ5作品の計17作品がTOP100入りし、うちグループ5作品がTOP20入りした。
2024年にはSTARTO勢は1位のSnow Manを筆頭に、グループ11作品・ソロ（木村拓哉）1作品の計12作品がTOP100入りし、うちグループ4作品がTOP20入りしていた。2025年にはSTARTO移管後のリリース活動が活発化し、自由度が増して、ソロ作品が増えた。
ジャニーズ性加害問題が表面化する前の2022年には、グループ11作品・ソロ（木村拓哉）1作品の12作品がTOP100入りし、うちグループ6作品がTOP20入りしていた。アルバムに関しては、多くのグループが年1回リリースしており、性加害問題の影響はほとんどなかったと思われる。
TOBEからは2025年にはNumber_iのフルアルバム「No.II」が21位にランクインした。2024年にはNumber_iのフルアルバムとミニアルバムがそれぞれ8位と14位に、IMP.の1stアルバムが75位にランクインしていた。
IMP.の2ndアルバムは2025年12月15日発売なので、ビルボード・ジャパンの2025年の集計期間後となる。
Number_iのCDアルバム売上に関しては、2025年に若干勢いが低下したように見える。ヒップホップ路線について行けないアイドルファンが離脱した可能性もある。ただ、Number_iがこの路線を貫くなら、アイドル時代ほどCD売上が期待できなくなり、配信重視になると思われる。
図表1 2025年ビルボード・ジャパンCDアルバム売上ランキングTOP100中のSTARTO/ TOBE勢（Billboard JAPAN Top Albums Sales of the Year 2025）
1位 Snow Man「THE BEST 2020-2025」 163万9,943枚
2位 Snow Man「音故知新」 112万4,884枚
6位 timelesz「FAM」 70万6,684枚
9位 SixTONES「GOLD」 50万8,361枚
15位 なにわ男子「BON BON VOYAGE」 37万6,522枚
21位 Number_i「No.II」
22位 Kis-My-Ft2「MAGFACT」
23位 Aぇ!group「D.N.A」
26位 King & Prince「Re:ERA」
32位 WEST.「A.H.O. -Audio Hang Out-」
39位 Hey! Say! JUMP「H+」
42位 Travis Japan「VIIsual」
45位 Ryosuke Yamada（山田涼介）「RED」
46位 京本大我「PROT.30」
61位 KOICHI DOMOTO（堂本光一）「RAISE」
62位 NEWS「変身」
67位 増田貴久「喜怒哀楽」
84位 中島健人「N/bias」
集計期間: 2024年11月25日（月）～2025年11月23日（日）
出所: ビルボード・ジャパン（TOP20の枚数入り記事）
Billboard JAPAN Top Albums Salesチャート
CDシングル―STARTO勢が後退、競争激化・デジタル解禁で甘くない展開
ビルボード・ジャパンの2025年のCDシングル売上チャート・Top Singles Salesには、STARTO勢は2位のSnow Manの「SERIOUS」（100万7,056枚）を筆頭に、グループ13作品、ソロ（中島健人）1作品の、計14作品がTOP100にランクインした。
このうちTOP20に登場したのは3作品で、1位のSnow Man「SERIOUS」、19位のtimelesz「Steal The Show/ レシピ」、20位の「Aぇ!group「Chameleon」となっている。
しかし、CDシングル売上ランキングにおいて、STARTO勢のプレゼンス（存在感）は、やや後退している。
前年・2024年には、STARTOからは、1・2位を占めたSnow Manの作品を筆頭に、合同プロジェクトSTARTO for youの作品を含むグループ19作品（ソロはゼロ）がTOP100入りし、うちグループ4作品がTOP20入りしていた。
また、ジャニーズ性加害問題が2023年に表面化する前の2022年には、1位のSnow Manの作品を筆頭に、グループの24作品がTOP100入り、うち9作品がTOP20入りしていた。
ボーイズグループ市場は熾烈な競争となっているが、STARTO勢も時代の流れを考慮してデジタル解禁にも踏み切った。このため、今後はライト層がCDを買わなくなる可能性もあり、ファン数を増やすか特典を充実させるかしなければ、高水準のCD売上を維持することが難しくなる可能性がある。
一方、TOBEからは、2025年にはNumber_iの2ndシングル「GOD_i」が26位に登場した。
2024年にはNumber_iの1stシングル「GOAT」が24位、合同プロジェクトのto HEROesの作品が79位に登場した。
CDシングルに関しては、Number_iの立ち位置に大きな変化はない。ただ、TOBEの他のアーティストのシングルやアルバムのCDの売れ行きへの懸念というか疑問はある。
図表2 2025年ビルボード・ジャパンCDシングル売上ランキングTOP100中のSTARTO/ TOBE勢（Billboard JAPAN Top Singles Sales of the Year 2025）
2位 Snow Man「SERIOUS」 100万7,056枚
19位 timelesz「Steal The Show/ レシピ」 52万8,529枚
20位 Aぇ!group「Chameleon」 51万3,961枚
26位 Number_i「GOD_i」
29位 SixTONES「BOYZ」
32位 なにわ男子「アシンメトリー/ Black Nightmare」
33位 なにわ男子「Doki it」
34位 SixTONES「Stargaze」
36位 King & Prince「What We Got～奇跡はきみと～/ I Know」
37位 King & Prince「HEART」
45位 WEST.「ウェッサイソウル!/ BIG LOVE SONG」
51位 Hey! Say! JUMP「encore」
56位 Travis Japan「Say I Do/ Tokyo Crazy Night」
58位 Kis-My-Ft2「Curtain call」
87位 中島健人「IDOLIC」
集計期間: 2024年11月25日（月）～2025年11月23日（日）
出所: ビルボード・ジャパン（TOP20の売上枚数入りの記事）
Billboard JAPAN Top Singles Salesチャート
配信チャートと総合チャート―STARTO勢はデジタル解禁後にグループ格差、TOBEのNumber_iは全般に強い
STARTOアイドルたちも2025年にかけて次々とデジタル解禁したが、グループによって、無事乗り切っていたり、苦戦したりの差が大きい。
CD売上同様に、ファンが頑張れば1週間だけは1位または上位が狙えるダウンロードのチャートDownload Songsの2025年年間ランキングを見ると、STARTO勢は12作品がTOP100にランクインし、うちSnow Manの「カリスマックス」のみがTOP20圏内の6位に登場できた。
2025年のCDシングル売上ランキングでは14作品がTOP100に、うち3作品がTOP20にランクインしたことを思えば、ダウンロードはCDよりも若干弱い結果となっている。また、年間チャートになると、グループによる差がCD以上に大きい。
これは、デジタルリリースしたものの、グループによってはファンが慣れていないか、関心が薄いファンが多いかで、ダウンロード購入をしない人がいるのも一因とみられる。Travis Japanのファンは配信慣れしているが、ファンの絶対数が多くないので、年間になると上位に行きにくい。
一方、TOBEからは2025年にはNumber_iの「GOD_i」が5位、「未確認領域」が35位、「HIRAKEGOMA」が43位と、3作品がTOP100に登場している。Number_iのファンは、TOBE移籍後から全力でNumber_iを支えているため、配信慣れしている。
2024年にはNumber_iの「GOAT」が7位、「INZM」が27位、「BON」が29位、「Blow Your Cover」が59位にランクインしていた。また、to HEROEesの作品は83位だった。
Number_iのダウンロード成績に関しては、デジタルシングルのリリースの間隔が開いて作品数が減る傾向のようだが、強さは維持できていると思われる。
図表3 2025年ビルボード・ジャパン ダウンロード売上数Download Songsランキング
5位 Number_i「GOD_i」
6位 Snow Man「カリスマックス」
28位 timelesz「Rock this Party」
35位 Number_i「未確認領域」
43位 Number_i「HIRAKEGOMA」
46位 Travis Japan「Would You Like One?」
48位 King & Prince「HEART」
62位 King & Prince「What We Got ～奇跡はきみと～」
67位 SixTONES「Stargaze」
83位 Travis Japan「Say I do」
86位 Hey! Say! JUMP「GHOST」
90位 KinKi Kids「愛のかたまり」
91位 Travis Japan「Disco Baby」
96位 King & Prince「I Know」
99位 Travis Japan「Tokyo Crazy Night」
ストリーミングは、国内ボーイズグループの多くにとって苦手分野だが、STARTOのグループの多くにとっても弱点となっている。ストリーミング・チャートで上位ランクインするには、ファン数が膨大であるか、ファン以外にも聴いてもらえることが必須条件となるからだ。
2025年のビルボード・ジャパンのストリーミング・チャートStreaming Songsの年間TOP100には、STARTO勢の作品はゼロで、TOBEからはNumber_iの「GOD_i」が93位にランクインできたのみだった。
Snow Manはファン数では有利なので、ファン以外も聴いてくれる良い曲に恵まれれば、ストリーミング・チャートでもっと上に行けるだろう。
一方、CD売上、ダウンロード、ストリーミング、MV、ラジオ、カラオケを総合した総合ソングチャート・Billboard JAPAN Hot 100で、STARTO勢の最高だったのがNEWSの「チャンカパーナ」の78位であることは、興味深い。
NEWSの「チャンカパーナ」のリリースは2012年7月18日（4人体制のNEWS時代のCDシングル）で、この曲は2025年の年間ダウンロードのTOP100にも、年間ストリーミングのTOP100にも登場していない。
ただ、「チャンカパーナ」はストリーミングチャートStreaming SongsのTOP100に、2024年秋から2025年初めにかけて計15回は登場していたので、年間でも100位に近いところにいた可能性がある。また、この曲がHot 100の構成項目の１つであるカラオケで人気曲だったことも、年間TOP100で78位という好成績につながったものと推定される。
年間Hot 100にSTARTOからは、78位のNEWS「チャンカパーナ」以外に、Snow Man「カリスマックス」が80位、新生timeleszの第一弾「Rock this Party」が92位にランクインしている。
一方、TOBEからは年間Hot 100に、Number_iの「GOD_i」が33位「BON」が89位でランクインした。Number_iはCDもデジタルも強いと言えるので、年間TOP100入りに違和感はない。ただ、TOBEからNumber_iだけがランクインというのは気になる。
図表4 2025年ビルボード・ジャパン ストリーミング Streaming Songsランキング
93位 Number_i「GOD_i」
図表5 2025年Billboard JAPAN Hot 100
33位 Number_i「GOD_i」
78位 NEWS「チャンカパーナ」
80位 Snow Man「カリスマックス」
89位 Number_i「BON」
92位 timelesz「Rock this Party」