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・初週売上の前作比増はSixTONESと(イベント特典導入の)Sexy Zoneのみ・・・
・・・・その他のグループは軒並み初週売上が前作比で減少
・CD売上減少の理由と今後の影響(個人的見解)
・データ編―2021年1月以降のジャニーズのグループ別のCDシングルとCDオリジナルアルバムの初週売上
ジャニーズがこの半年の間にリリースしたCDシングルの初週売上が、ほとんどのグループで前作比で軒並み減少している。増加したのはSixTONESと、新たにイベント特典を導入したSexy Zoneのみだ(巻末のデータ編を参照)。
初週売上の前作比増はSixTONESと(イベント特典導入の)Sexy Zoneのみ・・・
順調なグループから見て行くと、SixTONESのシングル初週売上は、2021年2月17日発売の「僕が僕じゃないみたいだ」のビルボード・ジャパン(以下、ビルボードと略す)での43万6,911枚から8月11日発売の「マスカラ」(King Gnu常田大希提供曲)は50万4,232枚に増加した(オリコンでは43.1万枚→49.6万枚への増加)。
また、SixTONESのアルバム初週売上も、2021年1月6日発売の「1ST」のビルボードでの47万2,080枚から2022年1月5日発売の「CITY」は47万2,954枚に微増した(オリコンでは46.7万枚→47.0万枚への小幅増)。
Sexy Zoneのシングル初週売上は、2021年3月24日発売の「LET’S MUSIC」のビルボードでの17万6,844枚から8月4日発売の「夏のハイドレンジア」は25万9,361枚に爆増した(オリコンでは17.3万枚→24.9万枚)。後者では新たに、3形態セット購入でファンミーティング生配信視聴、という魅力的なイベント特典が導入された。
・・・その他のグループは軒並み初週売上が前作比で減少
一方、それ以外のグループでは、軒並み、直近のシングルの初週売上が、前作比で減少している(解散したV6を除く)。また、オリジナルアルバムの初週売上も、前作比で減少している(ベストアルバムはオリジナルアルバムより売上が多いのが当たり前なので、除外している)。
嵐の後継グループと期待されている人気グループのKing & Princeも、例外ではない。キンプリのシングル初週売上は2021年5月19日発売の「Magic Touch/Beating Hearts」のビルボードでの47万605枚から、10月6日発売の「恋降る月夜に君想ふ」は44万9,115枚に減少した(オリコンでは46.4万枚→44.2万枚への減少)。
キンプリのアルバムの初週売上も、2020年9月2日発売の「L&」のビルボードでの55万8,886枚から2021年7月21日発売の「Re: Sense」は46万2,392枚に、大幅減となった(オリコンでは55.5万枚→45.8万枚)。
現在ジャニーズで最も売上が多いSnow Manも、シングル初週売上は2021年1月20日発売の「Grandeur」のビルボードでの80万398枚から、7月14日発売の「HELLO HELLO」は82万349枚に増えたものの、12月1日発売の「Secret Touch」は75万618枚に落ち込んで、自己最低となった(オリコンでは80.2万枚→80.6万枚→73.4万枚)。
ジャニーズWESTは、2021年初めまでは好調で、アルバム初週売上は2020年3月18日発売の「W trouble」のビルボードでの18万7,215枚から2021年3月17日発売の「rainboW」は21万6,116枚に増加した(オリコンでは20.8万枚→24.6万枚)。
しかし、シングルの初週売上は2021年1月13日発売の「週刊うまくいく曜日」のビルボードでの22万7,615枚をピークに、5月5日発売の「サムシング・ニュー」の21万1,396枚、7月28日発売の「でっかい愛/喜努愛楽」の19万9,181枚、2022年1月19日発売の「黎明/進むしかねぇ」の19万7,400へと、緩やかな右肩下がりの減少トレンドになっている(オリコンでは22.7万枚→21.8万枚→20.3万枚→19.5万枚)。
他のグループは、より懸念が大きい。たとえば、Kis-My-Ft2のシングル初週売上は2021年2月24日発売の「Luv Bias」のビルボードでの21万7,880枚から9月15日発売の「Fear/SO BLUE」は13万7,484枚へと激減した(オリコンでは21.4万枚→13.0万枚)。
CD売上減少の理由と今後の影響(個人的見解)
個人的には、CD売上、特に注目度合いの高い初週売上は、アイドルのファン数やファンの熱量を示す、重要な人気指標だと思っている。「CDが売れない時代だから」という言い訳は、KAT-TUNなど一部を除き、新譜の配信リリースを行っていないジャニーズには当てはまらない。
販売形態数の減少や、販促効果の高いイベント特典の廃止・減少で説明できない売上減は、人気低下・ファン数減少の可能性を疑うべきだ。その中には、ジャニーズ内でのファン移動、たとえば既存グループから2021年11月デビューのなにわ男子への担替えの可能性もある。
一方で、2020年ぐらいから、K-POP勢も含め、非ジャニーズのボーイズグループ(歌って踊る若い男性のグループ)の中に、顕著にCD売上を伸ばすところも出てきており、ボーイズグループ戦国時代となってきた影響も、ジャニーズのCD売上減と無縁ではないと推察される。
ジャニーズが今後CDの売上を伸ばす対策を考える場合、ファン数を増やしたいのか、1回のリリースごとに1人のファンが買うCDの枚数を増やしたいのか、のいずれかで違ってくる。
後者、つまり1人のファンが買うCDの枚数を増やす典型的な例は、販売形態数の増加と魅力的な特典、特にイベント特典だ。
たとえば、最近Hey! Say! JUMPやSexy Zoneが導入したイベント特典では、セット購入でファンミーティング等の魅力的なオンラインイベントの生配信が視聴できる。しかし、Hey! Say! JUMPの場合は、もはやこのオンラインイベント特典だけでは、CD売上が伸びなくなっているようだ。
オンラインイベント招待よりもより効果的なイベント特典と言えば、コロナ前は握手会やハイタッチ会といった接触イベント特典だった。コロナ禍となり、たとえばK-POP勢などは(日本の非ジャニーズ系ボーイズグループのBE:FIRSTなども採用している)個別ビデオ通話イベント(いわゆる「ヨントン」)に切り替えて、大人気となっている。
ジャニーズはごく最近、試験運用として、TOKIOのファンクラブ会員向けに、映像なしのリアルタイム音声イベント参加サービスを導入している。ツイッターのスペース機能に近いもののようで、指名された一部のファンは発言できるが、その他大勢は聴くだけだ(2022年1月23日付「ジャニーズがヨントン?の報に一部ジャニオタが怒る、実はヨントンでなく音声のみで発言は指名制」を参照)。
これが第一歩となり、将来CD売上が一段と低迷した場合、映像ありの1対1のビデオ通話イベントの導入や、コロナ禍が終われば握手会・ハイタッチ会復活へとエスカレートしていく可能性もあるだろう。もちろん、トラブル・炎上やファン間のヒエラルキー形成(CDを買った枚数が多いと優遇など)のリスク含みだ。
もっとも、本来あるべき姿は、1人が買うCDの枚数を増やすのではなく、ファン数そのものを増やすことのはずだ。ジャニタレは、自分の歌声を是非聴きたいと思ってくれるファンを増やすべく、実力や魅力を磨くべきだろう。
ただし、俳優やバラエティーの仕事で知名度アップができても、必ずしもCDを買ってもらえるとは限らない。また、有名アーティストが楽曲提供しても、そのファンが必ずジャニーズが歌うCDを買うとも限らない。
データ編―2021年1月以降のジャニーズのグループ別のCDシングルとCDオリジナルアルバムの初週売上
以下は、2021年1月以降のジャニーズのグループ別のCDシングルとCDオリジナルアルバムの、ビルボード・ジャパンおよびオリコンによる初週売上枚数の一覧だ。2021年11月に解散したV6およびソロアーティストは除外してある。また、ベストアルバムはオリジナルアルバムよりも売上がかなり多いのが当たり前なので、除外した。
なお、ジャニーズの場合は通常3形態販売なので、それ以外の形態数の場合は[]内に注記した。また、ファンミーティング等のライブイベントの生配信を視聴できるイベント特典は販促効果が大きいため、[]内に注記した。
図表1 2021年1月13日~2022年1月19日のジャニーズのグループ別のシングル初週売上(解散したV6を除く、3形態以外のもの・イベント特典導入は注記)
ジャニーズWEST
ビルボード・ジャパン
2021/1/13「週刊うまくいく曜日」 227,615枚
2021/5/5「サムシング・ニュー」 211,396枚
2021/7/28「でっかい愛/喜努愛楽」 199,181枚
2022/1/19「黎明/進むしかねえ」 197,400枚
オリコン
2021/1/13「週刊うまくいく曜日」 22.7万枚
2021/5/5「サムシング・ニュー」 21.8万枚
2021/7/28「でっかい愛/喜努愛楽」 20.3万枚
2022/1/19「黎明/進むしかねえ」 19.5万枚
Snow Man
ビルボード・ジャパン
2021/1/20「Grandeur」 800,398枚
2021/7/14「HELLO HELLO」820,349枚
2021/12/1「Secret Touch」750,618枚
オリコン
2021/1/20「Grandeur」 80.2万枚
2021/7/14「HELLO HELLO」80.6万枚
2021/12/1「Secret Touch」73.4万枚
Hey! Say! JUMP
ビルボード・ジャパン
2021/5/12「ネガティブファイター」[イベント特典] 215,704枚
2021/8/25「群青ランナウェイ」[イベント特典] 234,313枚
2021/11/24「Sing-along」[イベント特典] 200,355枚
オリコン
2021/5/12「ネガティブファイター」[イベント特典] 21.5万枚
2021/8/25「群青ランナウェイ」[イベント特典] 23.6万枚
2021/11/24「Sing-along」[イベント特典] 19.8万枚
NEWS
ビルボード・ジャパン
2021/6/30「BURN」 148,953枚
2021/11/17「未来へ/ReBorn」[イベント特典] 133,575枚
オリコン
2021/6/30「BURN」 14.8万枚
2021/11/17「未来へ/ReBorn」[イベント特典] 13.3万枚
なにわ男子
ビルボード・ジャパン
2021/11/12「初心LOVE」[5形態] [イベント特典] 632,655枚
オリコン
2021/11/12「初心LOVE」[5形態] [イベント特典] 70.6万枚
King & Prince
ビルボード・ジャパン
2021/5/19「Magic Touch/Beating Hearts」 470,605枚
2021/10/6「恋降る月夜に君想ふ」 449,115枚
オリコン
2021/5/19「Magic Touch/Beating Hearts」 46.4万枚
2021/10/6「恋降る月夜に君想ふ」 44.2万枚
Kis-My-Ft2
ビルボード・ジャパン
2021/2/24「Luv Bias」 217,880枚
2021/9/15「Fear/SO BLUE」 137,484枚
オリコン
2021/2/24「Luv Bias」 21.4万枚
2021/9/15「Fear/SO BLUE」 13.0万枚
KAT-TUN
ビルボード・ジャパン
2021/3/10「Roar」[6形態] 196,322枚
2021/9/8「We Just Go Hard (feat. AK-69)」[6形態] 134,842枚
オリコン
2021/3/10「Roar」[6形態] 25.3万枚
2021/9/8「We Just Go Hard (feat. AK-69)」[6形態] 20.5万枚
A.B.C-Z
ビルボード・ジャパン
2021/4/14「Nothin’ but funky」 31,797枚
2021/9/1「夏と君のうた」 28,804枚
オリコン
2021/4/14「Nothin’ but funky」 3.0万枚
2021/9/1「夏と君のうた」 2.7万枚
SixTONES
ビルボード・ジャパン
2021/2/17「僕が僕じゃないみたいだ」 436,911枚
2021/8/11「マスカラ」 504,232枚
オリコン
2021/2/17「僕が僕じゃないみたいだ」 43.1万枚
2021/8/11「マスカラ」 49.6万枚
Sexy Zone
ビルボード・ジャパン
2021/3/24「LET’S MUSIC」 176,844枚
2021/8/4「夏のハイドレンジア」[イベント特典] 259,361枚
オリコン
2021/3/24「LET’S MUSIC」 17.3万枚
2021/8/4「夏のハイドレンジア」[イベント特典] 24.9万枚
KinKi Kids
ビルボード・ジャパン
2020/6/17「KANZAI BOYA」 192,326枚
2021/7/21「アン/ペア」 173,387枚
オリコン
2020/6/17「KANZAI BOYA」 18.7万枚
2021/7/21「アン/ペア」 17.1万枚
関ジャニ∞
ビルボード・ジャパン
2021/2/10「キミトミタイセカイ」 218,927枚
2021/6/23「ひとりにしないよ」 202,025枚
オリコン
2021/2/10「キミトミタイセカイ」 21.7万枚
2021/6/23「ひとりにしないよ」 20.1万枚
図表2 2021年1月~2022年1月19日のジャニーズのニュー・オリジナルアルバムの初週売上と前作(ソロ、ベストアルバム、解散したV6を除く)
SixTONES
ビルボード・ジャパン
2021/1/6「1ST」 472,080枚
2022/1/5「CITY」 472,954枚
オリコン
2021/1/6「1ST」 46.7万枚
2022/1/5「CITY」 47.0万枚
関ジャニ∞
ビルボード・ジャパン
2017/6/28「ジャム」 337,677枚
2021/11/17「8 BEAT」 206,705枚
オリコン
2017/6/28「ジャム」 32.7万枚
2021/11/17「8 BEAT」 26.1万枚
Snow Man
ビルボード・ジャパン
2021/9/29「Snow Mania S1」 844,729枚
オリコン
2021/9/29「Snow Mania S1」 84.1万枚
King & Prince
ビルボード・ジャパン
2020/9/2「L&」 558,886枚
2021/7/21「Re:Sense」 462,392枚
オリコン
2020/9/2「L&」 55.5万枚
2021/7/21「Re:Sense」 45.8万枚
ジャニーズWEST
ビルボード・ジャパン
2020/3/18「W trouble」 187,215枚
2021/3/17「rainboW」 216,116枚
オリコン
2020/3/18「W trouble」 20.8万枚
2021/3/17「rainboW」 24.6万枚