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・被害申し出478人・補償要求325人、今後も増加、真相解明は見送り
・ジャニーズ廃業、所属タレントは新会社へ、退所するか考える機会にもなる
ジャニーズ事務所が2023年10月2日(月)14時より2時間にわたって記者会見を開き、「SMILE-UP.」への社名変更と将来の廃業、タレントの受け皿となる新会社の設立などについて発表した。
前進した部分もあるが、まだはっきりと分からない部分もある。また、ジャニー喜多川の性加害の実態についての本格的調査をしないことや、藤島ジュリー景子・前社長や白波瀬傑前副社長が出席しなかったことなど、都合の悪いことが隠された印象は否めない。
被害申し出478人・補償要求325人、今後も増加、真相解明は見送り
筆者個人的には、予想の範囲内ながらも、改めてちょっと衝撃だったことが2つあった。1つは、ジャニー喜多川による性被害者の規模だ。これまでのところ、被害補償の受付窓口に478人から申し出があり、325人が補償を求めているという。そのうち現時点で約150人の在籍確認が取れたという。
元々被害者は少なくとも数百人、場合によっては数千人と言われていたとはいえ、現時点で既に478人から申し出があったことには、少々驚いた。もっと増えるだろう。やっぱり歴史に残る、未曾有の規模の性犯罪としか言いようがない。
その隠蔽に加担した過去の事務所幹部やメディアの責任は重い。真相解明のための調査をしないのは、ジャニーズのこれまでの幹部やメディアには、明るみになると困ることがあるからだろう。
ジャニーズ廃業、所属タレントは新会社へ、退所するか考える機会にもなる
もう1つ、予想の範囲内ながら衝撃を感じたのは、ジャニーズ事務所という名前が本当になくなって、いずれ廃業すると決まったことだ。当サイトに5月に書いた記事の中で、ジャニーズ事務所を存続させてはいけないと書いていたにもかかわらず、いざ本当にジャニーズ消滅が決まると、何とも表現しがたい衝撃・戦慄を感じた。「因果応報」「驕れる者は久しからず」という格言が、ジャニーズに当てはまってしまった。
筆者も数年前まではジャニーズの複数のファンクラブに入会していて、割と熱心なジャニオタだった時期もあった。ジャニーズ廃業が決まったことが、所属タレントや元所属タレントにとっていかに衝撃的な出来事で、1つの時代の終わりを意味するかは、想像に難くない。
新たに設立される会社は、若年の所属タレントはこれまでのような専属マネジメント契約になるが、デビューして一定の経験を積んだタレントたちは、基本的にエージェント契約になるという。これは画期的だが、所属タレントには、自分にとって最適な選択肢は何かを考える機会となる。
新会社は仕事を獲ってくる業務を行うが、タレント個人のスケジュール管理や不祥事対応などのリスク管理は、本人またはグループが設立する事務所で行わなければならない。その代わり、副業でも何でも、好きなことができる。なお、滝沢秀明社長が率いるTOBEも同じく、エージェント契約が基本だと理解している。
まずは、現ジャニーズの所属タレントは、東山紀之が社長で井ノ原快彦が副社長となる新会社とエージェント契約するかどうかを、決めなければならない。
早速、会見が終了した直後に、元V6の岡田准一が、ジャニーズ退所を発表した。新たに事務所を設立するという。
俳優業専業でやって行くのであれば、東山・井ノ原による新会社よりも、俳優業に強い芸能事務所と業務提携したほうが、より良い仕事が獲得できそうだから、俳優業メインの生田斗真なども、退所の可能性が高いと思われる。
問題は、音楽活動をやっているアイドルたち、特にデビューして年数が浅いグループのメンバーたちだ。たとえば、東山・井ノ原による新会社と契約するのと、滝沢のTOBEと契約するのと、どちらが自分たちにとってメリットが大きいか、真剣に悩む者もいるのではないか。
どこに所属すればよりしっかり売ってもらえるのか、テレビ番組やCMなどへの出演の機会が多くなるのか、よく考えることになる。
東山社長は、叩けばまだホコリが出てきそうな不安を感じさせる。求心力が発揮できる前に危機に陥る可能性も否定できない。
一方、スポンサー企業がどう反応するかで、テレビ局や広告代理店の態度も違ってくるので、当面はスポンサー企業の動向を見守りたい。
今回の記者会見で最近のジャニーズ起用手控えの動きが直ちに覆るとは思えない。ジャニーズ忖度が後退する流れが続くとの前提に立てば、業界の地図が徐々に塗り替わる動きが続きそうだ。