堂本剛

堂本剛「HYBRID FUNK」はカッコよくグルーヴィーで多様

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堂本剛がENDRECHERI(エンドリケリー)名義で2018年5月2日に発売のニューアルバム「HYBRID FUNK」がフラゲ日の5月1日に到着したので、取りあえず全曲聴き、Limited Version(初回盤)AおよびBのMVおよびメイキング映像も観た。

感想をひと言で言うと、期待通りカッコよく、グルーヴィーで、いい意味で幅のある会心の作だ。ENDLICHERI☆ENDLICHERIプロジェクト時代(2006~2007年)の作風に基本的に回帰するからENDRECHERIを名乗るわけだが、限定するわけではない(当時の2つのアルバム「Coward」「Neo Africa Rainbow Ax」については2018年5月1日付 「堂本剛のENDLICHERI☆ENDLICHERIプロジェクトの復習」を参照)。

また、逆戻りというネガティブな表現は的外れだ。進化して深みを増したうえで、夢の国に戻って自分の世界をさらに展開しているのだ。

ファンクで高みを目指しつつ多様なサウンドを展開

実際には、今作ではENDLICHERI☆ENDLICHERI時代のアルバムに比べて、ファンクの比重が著しく増えている。ファンクを究める意向は確か。

一方で、今作ではファンク以外にも、ハードロック的部分のある曲、レゲエの要素のある曲、テクノ色が強めの曲、ソウルバラードなど、さまざまなサウンドが楽しめる。

また、ファンク作品群も、いい意味でサウンドに幅がある。これは、全作品が堂本剛の作詞作曲およびバンドのサウンドプロデュースであるが、曲ごとにタイプの違う編曲者が入ったからでもあるだろう。

さらに、歌詞も含めた曲の世界観も、メッセージ性の強いもの、生きることを諦めそうな人を救おうとするもの(「シンジルとウラギル」)、誕生祝ソング(「おめでTU」)大人のどこか哀しいラブソング(「Tonight」)、宇宙人との恋愛妄想(「HYBRID ALIEN」)など、多岐にわたっている。

お馴染みのSankakuキャラクターも登場する。また、山下達郎という大御所ミュージシャンがギタリストとして参加した曲(「HYBRID ALIEN」)もある。

なお、4月28日の自身のラジオ番組(bayfm78「堂本剛とFashion & Music Book」)で、堂本剛は通常の完全なプリプロ(pre-preduction)音源を準備しないで、一部口頭でミュージシャンに指示してレコーディングに臨んだ曲があったと明かしていた。

具体的には、「『HYBRID FUNK』『MusiClimber』『去な 宇宙』『YOUR MOTHER SHIP』『背に生えたクリスタル』とかぐらいかな。『Crystal light』とかもその域に入るかな」と語っていた。

堂本剛自身が楽しみながら意欲的にチャレンジして制作した楽曲たちが、突発性難聴による中断で遅れを余儀なくされた末に、ようやく世に出た。以下は個別の楽曲とMVについての個人的感想だ。まだ何度も聴き込んでいるわけではないため、あくまでも第一印象だ。3形態共通の収録曲から述べていく。

アルバム「HYBRID FUNK」各収録曲の感想(第一印象)

「END RE CHERI」

「Coward」(2006年)の冒頭のテクノっぽいインストのテーマ曲「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」が、さらに深みのあるアレンジで展開され、聴きごたえがあった。

どこか厳かなキーボードで始まり、お馴染みの主旋律がストリングス対旋律と同時進行したり、背後のリズムに元々のアフロにラテンが加わったり、かと思うと生き物の鳴き声が聞こえて物語風だったり、といろんなサウンドが楽しかった。もちろん、2006年当時から一貫して、カッコいいテーマだ。

「HYBRID FUNK」

ネオソウルの「HYBRID FUNK」はタイトル曲・リード曲だけあって、今回の全収録曲で最もカッコいい。このタイトルに、堂本剛は「過去も未来も現在も全部一つにまとめてしまう」との気持ちを込めたと、自身のラジオ番組(bayfm78「堂本剛とFashion & Music Book」)の4月14日放送回で話していた。

また、最初のボーカルの第一声とそれに続く楽器の第一音目から、グルーヴ(ノリ)が半端ないから、聴いていて自然に踊りそうになる。だからこそ、Limited Edition A(初回盤A)のMVで堂本剛が、この曲と共に、他では見られないようなセクシー・エロティックなダンスを披露している。

堂本剛のボーカルは卓越した歌唱力とグルーヴが際立っている一方で、この曲では途中のラップで強いメッセージを伝えている。

ちなみに、このMVでのダンスでは、段階的に髪を切りつつ撮影を行ったため、いろんな髪の長さ・髪型の堂本剛が登場する。最後に「おまけ」の映像があったのは、決してNG編などではなく、堂本剛が最初から最後まで踊っているワンカット映像だ。

「MusiClimber」

出だしは意外にもハードロック風で、ギターとべースのユニゾンがワイルドだ。その後、ブラスが加わったり、若干加工された歌声に女声高音コーラスが加わったりして、音が厚み・深みを増していく。

堂本剛は4月14日放送の自身のラジオ番組で、この曲には「音を掴んで高みを目指して行け」との思いを込めたと語っていた。

「去な 宇宙(いな スペース)」

レゲエの要素が採り入れてある、ミディアムテンポのムーディーな曲だ。メロディーは哀愁があって情緒的で、ブラスがいい感じに音を厚くしている。

「YOUR MOTHER SHIP」

巡航速度のファンクで、開放的だがスノビッシュにも懐かしくも聞こえる。長年堂本剛のバンドのギタリストを務めている竹内友康が、アレンジに加わっている。終盤にかけてボーカルが熱唱していく。

「SANKAFUNK」

加工した低い声が登場する。堂本剛がSankakuキャラクターのことを思って制作した曲とのことで、楽しいサウンドで、サビは賑やかな合唱になっている。

「HYBRID ALIEN」

堂本剛のボーカルは加工した声になっていて、シンセの音も凝っていて、宇宙っぽい。大御所ミュージシャンの山下達郎がギターを担当していて、カッティングが聞こえてくるが、音量はあまり目立たない。

堂本剛は自身のラジオ番組の4月21日の放送回で、この曲に込めた思いについて、「他の惑星の生命体と恋愛に落ちる日が来るよね」「子供ができるとそれこそHYBRID ALIEN」と語っていた。

Limited Edition B(初回盤B)にこの曲のMVがあるように、この曲は第2のリード曲だ。珍しく、眉にラインを描き入れていつもと違った感じに見える堂本剛が、4人の女性宇宙人たちと踊っている。この4人は決してCGではなく、生身のダンサーで、顔が超厚い白塗りの宇宙人メークだ。MVメイキング映像中で、堂本剛は彼女たちが皮膚呼吸できないのではないかと心配していた。

堂本剛と宇宙人の彼女との「ステルスラブ・テレシンパシー・シーン」なるポーズの場面がある。これで子供ができるらしい。MVでこんなことをやっている音楽で、大御所ミュージシャンの山下達郎がギターを弾いている。

このMVは、バックスクリーンに木星のような宇宙の天体が映っているのみならず、堂本剛が自宅で飼っている古代魚(ポリプテルス・エンドリケリー・エンドリケリー)が宇宙を泳いでいる姿も映っている。MVメイキング映像で、この古代魚の撮影をしていた時、堂本剛は質問に答える形で、自宅の大きな水槽に古代魚を30匹くらい飼っていると明かしていた。

ジャケット写真用に、生け花ならぬ水晶を用いた「生け石」に熱中したり、家で古代魚を30匹も飼ったりしているから、もしかしたら、堂本剛は変わり者だと思わるかもしれない。だが、ごくフツーの凡人には、非凡な作品を生み出せない。

「背に生えたクリスタル」

物憂げな音色だが、ビートはしっかりきいている。だんだんワイルドな盛り上がりを見せ、Sankakuキャラクターもコーラスで参加している。

「Crystal light」

ハイテンションなファンクで、ベースのスラップとギターのリードのメロディーやカッティングがとてもカッコいい。哲学っぽい歌詞だが、堂本剛のボーカルは、高音での熱唱もある。

「舌(ベロ) VENOM」

ボコーダーを用いた可愛らしい歌声だ。堂本剛は自身のラジオ番組の4月21日の放送回で、「Sankakuが歌っている曲」だとしており、曲のタイトルには「言葉自体が毒」になることもあるとの思いが込められている。メッセージ性の強い詞で、バッキングはキーボードとシンセ打ち込みから成る。

「Ancient fish」

幻想的なキーボードで始まる、アップテンポのカッコいいドラマティックな曲だ。Sankakuの声も加わっているそうだが、目立たない。ライブでみんなで数を数えてリズム打ちできそうな箇所がある。

「逝くの ?!」(初回盤Aのみ収録)

意表を突くファンクで、コードの変遷が面白い箇所がある。

「Tonight」(初回盤Bのみ収録)

哀愁に満ちたどこか切ないラブソング。

「おめでTU」(通常盤のみ収録)

低い加工声のセリフで始まる、誕生祝にふさわしい陽気なファンクで、面白い転調となっている部分がある。明るいハッピーな曲という点では、異色の存在だが、こういう曲があってファンとしては嬉しい。アルバム「TU」以来、ファンクをやる時の剛の陽気なシーンでは、「TU」が遊び心のある合言葉と化している。

「セパレイトしたブレイン」(通常盤のみ収録)

雰囲気のあるダンスミュージックで、どこか懐かしい感じのする粋なサウンドだ。Sankakuキャラクターもコーラスに加わっているものの、多くはない。

「シンジルとウラギル」(通常盤のみ収録)

ソウルバラードで、堂本剛が自身のラジオ番組の4月21日放送回でこの曲について「大事にしている曲」「あの日傷つけられた自分を呼び戻して書きました」「死にたいと思っている人がやっぱり生きようと思わせてあげられるように、そういう心に寄り添ってあげられるような曲を書きたいなと思って書いた」と語っていた。

辛く悲しい体験に基づく詞だが、メランコリーなメロディーで切ない歌声であるものの、リズムはしっかりしていてお洒落なサウンドでもある。

まだ聴き込んでないから、今後発見することもいろいろありそうだが、取りあえずは期待通りナイスなアルバムだ。



*堂本剛がENDRECHERI名義で2018年5月2日に発売するアルバム「HYBRID FUNK」は、山下達郎がギターで参加した「HYBRID ALIEN」をはじめ、幅広いFUNKが楽しめ、ソウルバラードも収録。アルバム「HYBRID FUNK」はDVD付Limited Edition A(初回盤A)、DVD付Limited Edition B(初回盤B)、CDのみのOriginal Edition(通常盤)の3形態で販売され、ジャケットには長かった髪を切った堂本剛が数々のヘアアレンジで登場。楽曲は3形態共通の11曲に加え、Limited Edition Aのみ収録の「逝くの?!」、Limited Edition Bのみ収録の「Tonight」、Original Edition(通常盤)のみ収録の3曲「おめでTU」「セパレイトしたブレイン」「シンジルとウラギル」がある。Limited Edition AのDVDには「HYBRID FUNK」のMV、メイキング映像、無編集ワンカットのダンスシーンおまけ映像を収録。Limited Edition BのDVDには「HYBRID ALIEN」のMV(4人のエイリアンと踊る剛)とメイキング映像が収録され、投げ込みポスター「HYBRID ALIEN家族写真」も封入される。店舗により、先着外付け特典として、Limited Edition AにはSankakuエコバッグ、Limited Edition BにはSankaku転写しちゃってよシート、Original Edition(通常盤)にはSankakuステッカーが付く(Amazonと楽天ブックスは外付け特典付きは別コードになることに注意)。

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*堂本剛が3枚目のソロアルバムとしてENDLICHERI☆ENDLICHERI名義で2006年3月1日に発売した「Coward」はライブでその後よく歌われることになった「これだけの日を跨いで来たのだから」や「ソメイヨシノ(ライブバージョン)」などを収録。
 
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*堂本剛が4枚目のソロアルバムとして2007年4月11日にENDLICHERI☆ENDLICHERIで発売した「Neo Africa Rainbow Ax」


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