キンプリアルバム『L&』初週売上50万超え、スノストとの競争で切磋琢磨し世界進出を目指す

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・キンプリは嵐の後継候補筆頭、スノストとの競争で切磋琢磨しながら世界進出を目指す
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King & Prince（キンプリ）の2020年9月2日発売の2ndアルバム「L&」（読み: ランド）の初週売上は、オリコン調べで推定55.5万枚で、週間アルバムランキングで初登場1位を獲得した。

初週売上の55.5万枚は、収録内容が同じ3形態（同一内容のBlu-rayとDVDを別カウントすれば4形態）だった2019年6月発売の1stアルバム「King & Prince」の46万7,594枚を大幅に上回った。

図表1 「L&」デイリー売上（オリコン推計）

2020/9/1　　404,636　　累計
2020/9/2　　 78,832　　483,468
2020/9/3　　 20,752　　504,220
2020/9/4　　 13,974　　518,194
2020/9/5　　 13,606　　531,800
2020/9/6　　 14,052　　545,852
初週: 55.5万枚
（注: 初週売上にはデイリー報告を行わない店舗の調整分が加わるため、デイリー推計の合計とは一致しない）

オリコンによると、初週売上50万枚超えは、今年度（2019年12月23日付以降）では現時点で、米津玄師、BTSに次いで3作目だという。

国内音楽シーンの最先端を行く米津玄師、世界的人気のK-POPグループのBTSという、各ジャンルを代表する2アーティストと、日本の若手人気アイドル・グループのキンプリが、名を連ねた。

図表2 オリコン初週売上50万枚超えのアルバム（2019年12月23日付以降）

発売日　アーティスト　タイトル　初週売上（オリコン推計、枚）
2020/8/5 　米津玄師「STRAY SHEEP」　　 879,768
2020/7/15　BTS「MAP OF THE SOUL:7 ～THE JOURNEY～」　564,298
2020/9/2 　King & Prince「L&」　　　　　 55.5万

キンプリは嵐の後継候補、スノストとの競争で切磋琢磨しながら世界進出を目指す

上記は今年度の現時点での初週売上TOP3だが、前年度にはキンプリと同じジャニーズの看板グループの嵐が2019年6月26日に発売したベストアルバム「5×20 All the BEST」が初週売上130.4万枚を叩き出し、その後総売上がギネス認定されていた。

嵐は2020年末をもって活動休止してしまうので、その後継グループ、つまり次のジャニーズのトップ・グループはどこかとなると、現時点でキンプリはその筆頭候補の１つだ。グループ・カラーも王道アイドル路線で、嵐の感じに近いとも言える。

ただ、情報源がテレビに偏っていた時代に誕生したSMAPや嵐のような国民的アイドルと同じものを、今後も若い世代が求め続けるとは限らない。今や推しアイドルやアーティストは、自分でネットで見つけるもの、というのが、若い世代には普通のことになっている。時代が求めているものを提供できるかどうかが大事だ。

現時点での他のジャニーズ・トップグループ候補は、キンプリとは路線が異なるSixTONESかSnow Manのいずれか、あるいは両方と思われる。キンプリはジュリー派、スノストはタッキー派だ。キンプリとスノストが切磋琢磨して競争し合うのは、各グループの歌やダンスのレベルもアップするから、好ましいことだ。

スノストのアルバム売上を是非見てみたいところだが、2020年1月にCDデビューしたばかりで、残念ながら、まだアルバム発売の実績がない。

ということで、形態数や特典に左右されやすい（1人で大量に買うファンが発生しやすい）シングルの初週売上を比較することになる。ここでは、デビュー作のスノストのコラボシングル「Imitation Rain/D.D.」「D.D./Imitation Rain」をグループ合算でなく別々に発表したビルボード・ジャパンの初週売上データを見てみることとする。

図表3 ビルボード・ジャパン週間シングル・セールスチャートによる初週売上（枚）

2020/1/22 SixTONES「Imitation Rain/ D.D.」　776,836　（ハイタッチ会抽選応募券付）
2020/7/22 SixTONES「NAVIGATOR」　　　 652,277
2020/1/22 Snow Man「D.D./Imitation Rain」　772,236（ハイタッチ会抽選応募券付）
2020/6/10 King & Prince「Mazy Night」　　　531,162
2020/9/2 King & Prince【アルバム】「L&」　558,886

SixTONESの2ndシングル「NAVIGATOR」は、前作と違って接触イベント特典がなくなったにもかかわらず、ビルボード・ジャパンによる初週売上は65.2万枚で、キンプリの「Mazy Night」の53.1万枚を上回った。もっともその後、キンプリのアルバム「L&」のビルボード・ジャパンでの初週売上は55.9万枚を記録し、安価なシングル「Mazy Night」を上回る勢いとなった。

スノストはクールな雰囲気で、世界進出を視野に入れて海外でもウケそうな音楽を指向し、パフォーマンスを重視しているから、キンプリとはファン層がほとんど被らないと思われていた。スノストは決してK-POPをマネしているわけではないが、ジャニーズの他のグループに比べれば、楽曲やパフォーマンスの感じがグローバル路線のK-POPにやや近いと思う。

しかし、キンプリの今回の2ndアルバム「L&」は、彼らが本気で世界進出を目指していることを宣言したも同然の内容だった。

すなわち、初回限定盤BのDVDにはアメリカ武者修行でLAでダンスや歌のレッスンなどを受けている様子がドキュメンタリーとして収録されていた。また、通常盤のボーナストラックには、LAでの武者修行の終盤にレコーディングした全編英語歌詞の楽曲「Bounce」が収録されている（詳細は2020年9月2日付「キンプリアルバム『L&』初日40.5万枚で断トツ1位/ アメリカでダンスと歌の武者修行」を参照）。

一部K-POPボーイズグループもよく見ている筆者としては、K-POPがアジアのみならず欧米でも膨大なファンを獲得できたのは、歌とダンスの実力と良質な楽曲は当然のこととして、親しみやすいイケメンとしてあらゆるSNSコンテンツを惜しみなく供給したことが、大きいと思っている。

現時点の筆者の個人的印象では、キンプリとスノストを比較すると、メインボーカルの歌唱力はSixTONESが最強、パフォーマンス（主としてダンス）はSnow Manが最強、ビジュアルではキンプリが最強、と思っている。

念のため言っておくと、キンプリはメンバーの平均的には、ジャニーズの中では歌もダンスも上手なグループだ。年齢的にも若いから、歌もダンスも磨けばもっと上手になるに違いないと思われる。

ただ、現状では、ジャニーズの嵐以外のジュリー派グループがSNS活用で立ち遅れているため（嵐も海外向けでは空回りの感がある）、キンプリのSNS発信力は乏しい。

スノストは自らYouTubeコンテンツ、それにSixTONESはインスタグラム、Snow Manはweiboで発信力を発揮しているが、ツイッターには進出していない。しかし、キンプリはもっと立ち遅れている。辛うじて、レーベルのユニバーサル・ミュージックが、新曲MVの短縮バージョンをYouTubeに公開しているくらいだ。

ということで、世界を目指すキンプリの課題としては、歌とダンスと英語の発音のレベルアップに加え、グローバル・ファン向けの本格的SNS活用に乗り出す必要があるのではないだろうか（英会話は、最低誰か1人が英語インタビューで英語で答えられるのが望ましい）。でなければ、アジアの一部の人気で終わりかねないように思う。

なお、8月31日のTBS系「CDTV ライブ！ライブ！」でキンプリが口パクしていたのではないかとの疑念が、一部視聴者の間で浮上したというが、もし本当に口パクしたのであれば、海外進出など考えないほうがいいと思う。世界の音楽ファンをなめてはいけない。

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