『THE MUSIC DAY 2022』―懐メロ依存は音楽番組衰退の象徴、SixTONES×YOSHIKIコラボは圧巻

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・SixTONESとYOSHIKIの『Imitation Rain』のコラボ・パフォーマンスが圧巻
・ジャニーズ・シャッフル・メドレー―絶妙なキャスティングも、NEWS・増田貴久のラップが上手

2022年7月2日の日本テレビ系「THE MUSIC DAY」は、リアルタイムで観たのは終盤のSixTONESとYOSHIKIのコラボをはじめとする、少ない部分だけで、あとは録画で観たいところを探して観ただけなのだが、本題を入る前に全体として思ったのは、懐メロ企画が多すぎることだ。

懐メロ企画が多すぎるのは、「THE MUSIC DAY」に限った話ではなく、音楽特番全般に言えることであり、程度の差はあるが、ゴールデンタイムのレギュラー音楽番組（テレビ朝日系「ミュージックステーション」とTBS系「CDTVライブ！ライブ！」）にも言える。

過剰なくらいの懐メロ企画なしに音楽番組が成り立たないのは、今どきの流行りの曲を知らない中高年の視聴者をテレビの前に引っ張り出すために、懐メロを沢山盛り込まざるをえないからだろう。しかし、懐メロ依存はテレビの音楽番組の衰退を如実に示している。

筆者は韓国の年末の音楽特番も観ているが、懐メロなんか扱わず、最先端のヒット曲だらけだし、素晴らしいコラボ企画も多い。日本のテレビ局が、第一線の人気アーティストをもっと出したくても出せない事情があるとすれば、懐メロだのみの音楽特番は、日本の音楽業界のガラパゴス体質とリンクしている。

そういう懐メロ特集が、今回ジャニーズ・シャッフル・メドレーにも採用された。理由は簡単だ。最近のジャニーズの曲の大半は、いくらオリコン1位を獲れていても、ファン以外にはほとんど知られていないからだろう。だから、中高年でも覚えている、ジャニーズの懐メロばかりでメドレーをするしかなかった。

前置きはこれくらいにして、2022年の「THE MUSIC DAY」のジャニーズ関連のステージで、印象に残ったものを挙げるとすれば、その筆頭は、SixTONESとYOSHIKIの「Imitation Rain」の圧巻コラボだった。

ジャニーズ・シャッフル・メドレーでは、キャスティングが絶妙なチームが幾つかあった。NEWS・増田貴久のラップが上手だった。また、各チームに分散したSnow Manメンバーのダンススキルの高さも、際立っていた。

SixTONESとYOSHIKIの『Imitation Rain』のコラボ・パフォーマンスが圧巻

「THE MUSIC DAY 2022」のジャニーズ関連で、一番良かったのは、終盤のSixTONESとYOSHIKIの「Imitation Rain」の圧巻のコラボ・パフォーマンスだった。

YOSHIKIがSixTONESの2020年1月のデビュー曲「Imitation Rain」を書いた本人であるからこそできた、特別のアレンジ入りの、見応え・聴き応え十分の、感動的なコラボだった。

限られた演奏時間内に、ピアノを弾いていたYOSHIKIが、エレキギターを弾き始めたり、素早く移動してドラムを爆発的エネルギーで叩き始めたりと、驚く演出で、ステージへの本気度を見せつけた。YOSHIKIの移動のために挿入された間奏部分では、SixTONESは力強く踊っていた。

YOSHIKIのような大物ミュージシャンとのコラボだから、SixTONESのメンバーは相当緊張したに違いないが、そんな中でも、改めて歌唱力が高いグループだと再確認できた。特に、京本大我は群を抜いて素晴らしかった。

ジャニーズ・シャッフル・メドレー―絶妙なキャスティングも、NEWS・増田貴久のラップが上手

ジャニーズ・シャッフル・メドレーは、過去に見られたような、振付もうろ覚えのお遊戯会レベルだったら早送りしようと思っていたが、今回は、チーム間の差はあったものの、以前よりもかなりレベルアップされたと思えたステージ・パフォーマンスが多かった。

KinKi Kidsの大ヒット曲であるデビュー曲「硝子の少年」（1997年）のパフォーマンスを披露したのは、堂本剛パートがSixTONESの京本大我、堂本光一パートがKAT-TUNの亀梨和也だった。

このキャスティングを決めたのが番組スタッフなのか、滝沢秀明ジャニーズ副社長なのかは分からないが、なかなかセンスがあると思った。圧倒的歌唱力の堂本剛のパートに最適なのは、やはり卓越した歌唱力のSixTONES・京本大我だった。また、堂本光一同様、KAT-TUNの亀梨和也は歌も割と上手で、王子様感もある。

もう1つ、メドレーで鮮烈な印象を覚えたのは、嵐のデビュー曲「A・RA・SHI」（1999年）の冒頭部分のラップを、NEWSの増田貴久が見事にこなしたことだった。

本物の嵐の櫻井翔が、歌わないけど増田の隣に立ってニコニコしていた、というエモさもあったが、増田は長年アルバムのソロ曲などでラップをこなしていたから、リズム感も発声も良かったし、増田ならではのコブシも少しきかせて、増田らしさをにじませた見事なラップだった。

それ以外では、ちゃんと練習を十分重ねて、しっかりとしたパフォーマンスに仕上げているなと思ったのが、最初に田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」（1988年）を披露した、Hey! Say! JUMP・山田涼介、King & Prince・岸優太、Snow Man・岩本照の3人だった。

この3人の組み合わせはナイス・キャスティングでもあった。ソロパートがなかったのは残念だが、ダンスがとてもシャープに揃っていて、華があった。

その次に少年隊「仮面舞踏会」（1985年）を披露したSixTONES・ジェシー、King & Prince・髙橋海人、なにわ男子・大橋和也も、失敗すればボロクソに言われかねない"ジャニーズのプライド"であるこの曲を、ソロの掛け合いやダンスも含め、見事にこなしていた。

メドレー全般で思ったのは、Snow Manのメンバーはやっぱりダンスが上手だ、ということだ。今回は各曲のチームにいろんなグループから集められたメンバーが混ざっていたが、引きの映像でダンスを見ると、明らかにSnow Manのメンバーの上手さが目立っていた。

King & Princeのメンバーのダンスもキレがあって上手だが、Snow Manのメンバーはより身体能力が高いようで、片足を高く上げる振付を、ダイナミックかつキレイなラインでこなしていた。

最後の修二と彰「青春アミーゴ」（2005年）を披露したKing & Prince・永瀬廉とSnow Man・目黒蓮は、イケメン王子ペアとしてのキャスティングが絶妙だった。最後に43人全員が出て来て歌う時に中央に立った本家・亀梨和也を見て、ああもう山下智久と亀梨和也のデュオでのステージを見ることはないんだ、と改めて寂しく感じた。

ジャニーズ・メドレーの今後を考えると、やはり懐メロ曲のメドレーになる傾向は変えられないだろうと思う。一般視聴者がジャニーズの最新曲をほとんど知らないという問題もあるが、最近大人気の若手グループはパフォーマンスの難度を上げてきているから、彼らの曲を他のグループがパフォーマンス・カバーすることは難しくなりつつある。

最後に、今回の「THE MUSIC DAY」のジャニーズ関連で、もう1つエモかったのは、KAT-TUNの亀梨和也とMCの嵐・櫻井翔の臨時コラボだった。

KAT-TUNの中丸雄一と上田竜也のコロナ陽性のため、亀梨は1人で出演することになった。このため、披露曲「Crystal Moment」のラップ詞書きに参加していたMC・櫻井翔との臨時コラボでのパフォーマンスとなった。櫻井がラップ詞書き参加でこの曲を熟知していたからこそ実現したコラボだったが、とても貴重なコラボだった。

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