キンプリ『恋降る月夜に君想ふ』初週売上は44万枚の高水準も前作比減、スノストに次ぐ3番手

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・イベント特典なしでも高水準の売上
・キンプリの初週売上は2作連続の減少
・ジャニーズ内でのキンプリのCD売上の位置付け―直近はスノストに次いで3位
・商品情報

King & Prince（キンプリ）の2021年10月6日（水）発売の8thシングル「恋降る月夜に君想ふ」のオリコン調べの初週売上は44.2万枚で、週間シングルランキングで初登場1位を獲得した。デビューから8作連続の1位だ。

また、ビルボード・ジャパンの集計でも、キンプリ「恋降る月夜に君想ふ」の初週売上は44万9,115枚で、週間シングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で1位だった。

イベント特典なしでも高水準の売上

週間売上が44万台というのは、絶対水準としてはかなりの高水準だ。シングル「恋降る月夜に君想ふ」は3形態売りで、形態ごとに異なる先着外付け特典が付いているが、イベント特典（抽選もしくは全員招待）は付いていない。今のジャニーズの売れているグループの、標準的な売り方だ。

最近売上が落ちてきた、あるいは伸び悩んでいるジャニーズのグループの中には、4形態以上の多形態売りにしたり、イベント特典を付けたりとかの、非ジャニーズ・アイドル的な売り方を採り入れて、売上を伸ばしたり、あるいは減らないように努めているところもある。

しかし、キンプリは今のところ、そんな“非常手段”を用いなくても、高水準の売上を確保できている。つまり、固定ファンの絶対数が多い。

キンプリの初週売上は2作連続の減少

ただし、今作8thシングル「恋降る月夜に君想ふ」の初週売上は、2作連続の減少となった。オリコン調べの初週売上で見ると、キンプリの2020年12月16日発売の6thシングル「I promise」は56枚7,356枚、2021年5月19日発売の7thシングル「Magic Touch/ Beating Hearts」は46万3,795枚、そして今作8thシングル「恋降る月夜に君想ふ」は44.2万枚だ。

ビルボード・ジャパンの初週売上の数字も同じ方向だ。6thシングル「I promise」は57万8,092枚、7thシングル「Magic Touch/ Beating Hearts」は47万,605枚、そして今作8thシングル「恋降る月夜に君想ふ」は44万9,115枚だ。

2020年12月16日発売の6thシングル「I promise」と2021年5月19日発売の7thシングル「Magic Touch/ Beating Hearts」の間には、活動休止中だったメンバーの岩橋玄樹が脱退・退所する、という大きな変化があった。このため、岩橋ファンによるキンプリのCD購入がなくなったことが、7thシングル「Magic Touch/ Beating Hearts」の売上の前作比での大幅減の主因とみられた。

今作8thシングル「恋降る月夜に君想ふ」の前作比での初週売上の減少は、オリコンもビルボードも約2万枚で、横ばい圏内ぎりぎりの小幅減と言えなくもないから、大騒ぎする必要はないかもしれない。ただ、CDを買ってくれるファンが増えておらず、むしろ若干減っている可能性がある。

7thシングル「Magic Touch/ Beating Hearts」の時は、キンプリのメンバーたっての希望ジャンルのヒップホップ系の斬新なサウンドの曲だったが、そういう曲が苦手な女性ファンが買うのを控えた可能性もある、と思われた。

だったら、王道アイドルのラブソングに戻せば、売上もリバウンドするはず、という仮説を立てることができた。だが、「恋降る月夜に君想ふ」はリバウンドにつながらなかった。

もっとも、楽曲「恋降る月夜に君想ふ」は、「I promise」のような王道アイドル・ラブソングとはまた違い、平野紫耀主演映画「かぐや様は告らせたい～天才たちの恋愛頭脳戦～ファイナル」の主題歌だ。

楽曲制作には、映画「かぐや様は告らせたい」の前作の主題歌「koi-wazurai」と同じ作家が携わった。4thシングル「koi-wazurai」のオリコン調べの初週売上39万8,667枚は、キンプリ史上最低だったから、同じ作家を起用した「恋降る月夜に君想ふ」が売上を伸ばせるとは思えなかった。少なくとも、楽曲の魅力で新規ファン獲得につなげるには無理があった。

アイドルのファンはどんな曲でも買う人がほとんどとみられているから、キンプリは楽曲で勝負というよりも、ドラマやバラエティー番組などへの露出を増やして、新規ファンを獲得する戦略をとっているようだ。

しかし、そうやって露出を増やしても、CDの売上の増加につながらなくなっているとすれば、戦略を考え直したほうがいいかもしれない。今の男性アイドルのトレンドの中には、パフォーマンス重視という流れもあり、Snow Manの躍進の理由の一つがそれだ（他の理由としては、個性や人懐っこさなど）。

キンプリはビジュアルが強みだが、イケメン・王道アイドルということだけで勝負すると、ジャニーズ内の他の若手グループに、若年ファンを奪われる可能性もある。たとえば、11月12日にCDデビューするなにわ男子に、キンプリの若いファンの一部が流れる可能性もある。

もちろん、キンプリは強いメンバーが揃っているから、次回作での巻き返しは十分可能だ。