SixTONES『共鳴』初日売上が激減し自己最低―理由は明らか、次回作に期待

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・売上減少に特に驚かない―『マスカラ』で獲得した新規購入層が『共鳴』を買わなかった
・曲選びはSixTONESのデビュー当時からの課題―『共鳴』は難しすぎ、迷走の感も
・商品情報

SixTONESの2022年3月2日（水）発売の6thシングル「共鳴」のフラゲ日・3月1日の売上はオリコン調べで推定28万710枚で、デイリーシングルランキングで断トツの1位を獲得した。2位との間に大差があるため、週間1位も確実とみられる。

しかし、オリコン調べの初日売上の28万710枚が、前作の2021年8月11日発売の5thシングル「マスカラ」の35万3,884枚（初週売上は49万6,384枚）から大幅減となった上、自己最低記録となってしまったため、SNSが荒れている。

ビルボード・ジャパンの月～水曜の売上速報（実際には火～水曜の2日間の売上）で見ても、6thシングル「共鳴」は33万5,871枚で、5thシングル「マスカラ」の43万3,617枚から約10万枚の大幅減となった。なお、オリコンは推定売上だが、ビルボードは実売データに近い。

筆者が2022年1月25日付「ジャニーズのほとんどのグループのCD売上が軒並み減少、直近の前作比増はSixTONESとSexy Zoneだけ」を書いた時点では、ジャニーズのグループが2021年後半以降にリリースしたCDシングルの初週売上が軒並み前作比で減少していて、辛うじてSixTONESとイベント特典導入のSexy Zoneだけが、前作比で売上増加となっていた。

ついにSixTONESも初週売上が下降局面入りしつつあるのだろうか？

なお、6thシングル「共鳴」の初日売上が自己最低と言っても、28万枚は十分すぎる高水準で、初週売上も40万枚前後は行けるはずだ。SixTONESが「すごく売れているグループ」であることには変わりない。

売上減少に特に驚かない―『マスカラ』で獲得した新規購入層が『共鳴』を買わなかった

筆者個人的には、SixTONESの卓越した歌唱力が魅力の京本大我のファンではあるが、今作6thシングル「共鳴」の初日売上の減少には、特に驚かなかった。

なお、販売形態数は3形態で前作と変わりないし、カップリング曲についても前作比で差はない。

K-POPのCDシングルでは、全形態で収録曲は共通なことが多いが、ジャニーズの場合は形態ごとにカップリング曲を変えていて、全形態を購入しないと全曲が網羅できないことが多い。

SixTONESの場合、2ndシングル「NAVIGATOR」から4thシングル「僕が僕じゃないみたいだ」までは、3形態それぞれに異なるカップリング曲を収録するジャニーズ流を踏襲していた。

しかし、5thシングル「マスカラ」と今作6thシングル「共鳴」は、3形態のうち2形態だけ買えば全曲入手できた（具体的には、今作6thシングル「共鳴」は、初回盤Aと通常盤の2形態だけで、全曲が網羅されている）。

つまり、前作5thシングル「マスカラ」ではKing Gnu提供の表題曲に惹かれて初めてSixTONESのCDを購入した層が、今作6thシングル「共鳴」の購入を見送ったことが、前作比の売上減の主因とみられる。

曲選びはSixTONESのデビュー当時からの課題―『共鳴』は難しすぎ、迷走の感も

これは、SixTONESのデビュー当時から、曲選びが大きな課題であることが、改めて浮き彫りになったと言えよう。

King Gnuのような人気アーティストが楽曲提供すれば、そのCDシングルの売上は一時的に伸びるが、次のCDシングルに同じくらいの人気アーティストが楽曲提供しなければ、続かない。

今作6thシングル「共鳴」は、果たしてこの表題曲で良かったのか、SNSを見渡しても、SixTONESファンの間で意見が分かれているようだ。

筆者は、初めて楽曲「共鳴」を聴いた時に、何て難しい曲なのだろう、との感想を抱いた。また、2022年2月28日のTBS系「CDTVライブ！ライブ！」で、京本は楽曲「共鳴」について、「ヒップホップだったり、ロックとか、ジャズとか、いろんなものをミックスした楽曲になっている」と述べていた。

SixTONESは京本とそれに次ぐジェシーを筆頭に歌唱力の高いグループだから、他のジャニーズの多くのグループに比べてアーティスト性の高い路線を維持してきた。

ジャニオタ以外から見て、ジャニーズの楽曲と言えば、「分かりやすく耳に馴染みやすい」、「ダサ・カワイイ、時にトンチキ」というイメージがある。なお、お金がかけられた上、予算内でクリエイターが映像クオリティーを競う豪華ミュージックビデオ（MV）を見慣れたK-POPファンから見れば、お金をかけずシーン・セットも簡素で少ないジャニーズのMVは概してショボい、と見られているのが現状だ。

SixTONESはデビュー曲がYOSHIKI提供のロックバラードの「Imitation Rain」で、その後も4thシングル表題曲のポップロックの「僕が僕じゃないみたいだ」まで、ロック路線を維持していた。

曲調に合わせ、衣装も王道アイドル系やダサ・カワイイ系ではなく、黒などのシャープでカッコいい感じのものが多かった。ただ、敢えて言うと、YOSHIKIのロックは音楽シーン的には古いサウンドなのではないか、という一部の意見もあったし、ダンスの振付に関しては、デビューから「マスカラ」までは若干古臭い印象があったのも事実だ。

結果、SixTONESは5thシングル「マスカラ」で新境地開拓に成功したが、それに続く6thシングル「共鳴」では、曲選びで"迷走している"感が出てしまった。しかも、MVは字幕が猛スピードでチラつくので見づらいから、YouTubeでの再生回数が伸び悩み、宣伝材料としての役割を十分に果たせていない。初回盤Bと通常盤のジャケットも地味で暗い印象だ。

いろんなジャンルを詰め込んだ難しい曲でも、京本やジェシーを筆頭に歌唱力があるグループだから、歌いこなせる（ただし、「共鳴」の歌割は平等主義が適用されていて、せっかくの京本の高い歌唱力の出番が少ないのが、京本ファンの不満につながっている）。

しかし、難曲=大ヒット曲ではないし、楽曲提供者が大人気アーティストでなければ、難曲は一般大衆に浸透しづらい。楽曲「共鳴」はいい曲とは思うが、難曲でとっつきにくいし、この曲をカラオケで歌いたい一般人は、よほど歌唱力自慢の強者でなければ、ほとんどいないだろう。音楽特番のジャニーズ・グループチェンジ・メドレーで採用される可能性も低い。

ジャニーズで歌唱力が非常に高いグループと言えば、KinKi Kidsが思い浮かぶ。KinKi Kidsは有名アーティストから楽曲提供を受けることが多いが、シングル表題曲に早口の曲はないし、大体は耳に馴染みやすいメロディーになっている。それが売れる秘訣だと、KinKi Kidsのプロデューサー（KinKi Kids自身と友人の堂島孝平）は、よく理解している。

なお、初回盤Aのカップリング曲「Waves Crash」は、筆者は個人的にはパワフルなダンスチューンでいいと思うが、これだと「Snow Manに寄せた」とか「K-POPに寄せた」とか言われそうなので、MVを作るダブル表題曲には採用しなかったのかもしれない。

SixTONESの場合は、CD売上を左右する大きな要因の１つが楽曲選びである以上、次回作以降、良い曲に恵まれれば、CD売上が右肩下がりトレンド一直線になる心配はないだろう。もちろん、販促のためのイベント特典を焦って導入する必要もない。

結論は、次回作に期待！

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商品情報

*SixTONESの2021年8月11日（水）発売の5thシングル「マスカラ」表題曲は、King Gnuおよびmillennium paradeの常田大希による提供曲の切ないラブソング。シングル「マスカラ」はDVD付き初回盤A、DVD付き初回盤B、CDのみの通常盤（初回仕様有）の3形態で販売。初回盤Aのカップリング曲は「Make Up」で、DVDには「マスカラ」のミュージックビデオ（MV）、MVメイキング、MVソロアングルの映像を収録。初回盤Bのカップリング曲は「フィギュア」で、DVDには「フィギュア」のMVを収録。通常盤のカップリング曲には「フィギュア」「Lost City」「僕が僕じゃないみたいだ（Dramatic Rearrange）」を収録。通常盤初回仕様分には20Pフォトブックレットを封入。