キンプリの逆襲―『TraceTrace』オリコン初日38万枚で前作比増、俺らこそ王者、なにわに負けられぬ

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・初日売上は前作比約4.7万枚（14%）の手ごたえある増加←特典充実の成果
・販促強化の理由は覇権争い―俺らこそキング、なにわに負けてられるか
・主題歌起用されたドラマは視聴率的にコケたが、音楽番組と情報番組に出まくりしっかりPR
・商品情報

キンプリが本気を出した。剛腕・ユニバーサルとがっちり組んで、猛烈なプロモーション作戦に出た。特典充実で、まずは初日売上は前作比でしっかり増加を確保した。CD発売日は日本テレビジャックで情報番組に出まくって、さらなる販促を展開した。

King & Prince（キンプリ）の2022年9月14日（水）発売の10thシングル「TraceTrace」のフラゲ日・9月13日（火）の売上はオリコン推定で38万543枚で、オリコンのデイリーシングルランキングで初登場1位を獲得した。

非ジャニーズのアイドルグループのCD売上については、オリコンは「積み」の間引きを行って実売より低い数字を「推定売上」として発表することが多いので、筆者は原則として、減数調整なしのビルボード・ジャパンの売上速報（月～水）を待つことにしている。

しかし、ジャニーズに関しては、オリコンとビルボード・ジャパンの売上の差は小さい（だからオリコンのジャニーズ忖度を疑う人もいる）。このため、今回のキンプリに関しても、オリコンとビルボードはほぼ同数だろうと想定し、ビルボード・ジャパンの速報を待つことなく、比較分析を試みた。

初日売上は前作比約4.7万枚（14%）の手ごたえある増加←特典充実の成果

キンプリの10thシングル「TraceTrace」の初日売上の38万543枚は、前作の2022年4月13日（水）発売の9thシングル「Lovin’ you/ 踊るように人生を。」の初日売上の33万3,316枚から約4万,7000枚（14％）の手ごたえある増加となった。

マニュアル的に販売形態数と特典を比較すると、10thシングル「TraceTrace」も9thシングル「Lovin’ you/ 踊るように人生を。」も、同じ3形態で、形態ごとに異なる先着外付け特典が付いている。

これに加えて、今作10thシングル「TraceTrace」では、新たに、形態ごとに異なる期間限定動画が視聴可能なシリアルナンバーが、初回プレス分のみに封入されている。これは販促策としては効果的だ。ファンなら、自担が登場するすべての動画を観たいと思うのが当然だからだ。

さらに、7月30日に開幕したツアー「King & Prince ARENA TOUR 2022 ～Made in～」の静岡（7月30～31日）、北海道（8月6～7日）、大阪（8月19～21日）の3会場のライブ開催期間中（午前9時～22時59分）にUNIVERSAL MUSIC STOREにて「ツアー会場限定特典（チケットホルダー）付き」のシングル「Trace Trace」の予約販売も行われた。販売受付サイトには、各ライブ会場周辺（半径約10km）よりスマホでのみアクセスできた。

販促強化の理由は覇権争い―俺らこそキング、なにわに負けてられるか

このように特典を手厚く充実させて販促を強化した理由は、筆者の個人的な見解では、覇権争いだろうと思っている。

同じジャニーズの別のグループSは、既にジャニーズ内では多いとは言えない売上の先細り懸念を打開するために、3形態セット購入の特典を2パターンの動画の組み合わせから１つ選択できるようにして、すべての動画を観たいファンの6形態購入を促そうとした。

しかし、キンプリの場合は、自己最高の初週売上を叩き出した2020年12月16日発売の6thシングル「I promise」（オリコンで56万7,356枚、ビルボード・ジャパンで57万8,092枚）からは減ったとはいえ、9thシングル「Lovin’ you/ 踊るように人生を。」の初週売上はオリコンで46万5,857枚、ビルボード・ジャパンで47万1,845枚の高水準だった。業界的には羨ましがられる立派な売上だ。

それでも、ジャニーズ内を見渡すと、後輩であるタッキー派のSnow Manの2022年7月13日発売の7thシングル「オレンジkiss」の初週売上はオリコンで83万163枚、ビルボード・ジャパンでは85万692枚の超高水準に達していた。

非・主流派のSnow Manに負けるのは悔しいが、あまりにも差が開いているので、取りあえずは、手が届きそうなライバルに目を向けると、手近な目の上のたんこぶは、キンプリと同じジュリー派の後輩・なにわ男子だ。

なにわ男子ですら、2022年4月27日発売の2ndシングル「The Answer/サチアレ」の初週売上はオリコンで53万5,465枚、ビルボード・ジャパンで53万4,004枚で、最近のキンプリの実績を軽く上回る、絶好調ぶりなのだ。

キンプリは故・ジャニー喜多川前社長から「King」が付く名前をもらっており、自分たちこそジャニーズの正統派イケメン・アイドルグループの王者で、ジュリー社長の本命（のはず）というプライドもある。このまま大差をつけられてじり貧に甘んじるわけにはいかない。

ということで、商売上手な剛腕・ユニバーサルとがっちり組んで、キンプリは、イベント招待特典にこそ手を出さないものの、上記のように、形態ごとに異なる期間限定動画を導入したり、ライブ会場限定特典付きCDを販売したりという、特典充実策を導入した。これが奏功して、初日売上の前作比での増加という、目に見える成果を上げることができた。

主題歌起用されたドラマは視聴率的にコケたが、音楽番組と情報番組に出まくりしっかりPR

「TraceTrace」が主題歌起用されている永瀬廉主演ドラマはどうやら視聴率的にコケてしまったが、キンプリはテレビ番組でのプロモーションのための露出を徹底的に増やした。

CD発売日前の音楽番組での「TraceTrace」披露に加え、CD発売日の9月14日には朝早くから夕方まで日本テレビ系の情報番組に立て続けに生出演（番組によっては生パフォーマンスも披露）して、10thシングル「TraceTrace」の大大的プロモーションを行った。キンプリが2作目以降のシングル発売で、ここまで露骨な出演しまくりでPR活動をしたことが、過去にあっただろうか？

果たして、10thシングル「TraceTrace」の初週売上は、なにわ男子2ndシングル「The Answer/サチアレ」（オリコン53万5,465枚、ビルボード・ジャパン53万4,004枚）を超えることができるだろうか？

[追記] キンプリ「TraceTrace」のオリコンによる初週売上は推定50.1万枚で週間1位、ビルボード・ジャパンによる初週売上は51万3,056枚で、こちらも週間1位だった。

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