堂本剛、動物園・水族館で哀しくなる/ 人気曲のエピソードや詞に込めた想い

2018年12月9日

2018年12月8日のbayfm78「堂本剛とFashion & Music Book」で、堂本剛は前半に、以前自分が芸能界やアイドルに向いてないと悩んでいたことに関連するエピソードを取り上げた。

剛はかつてパニック障害で苦しんでいた時期に、体を壊しながら歌い続けた歌手を描いた「ローズ」（The Rose, 1979年）という映画を観て共感した。また、動物園や水族館の見世物になっている生き物が芸能人に重なって見えて、哀しいと感じることもあるそうだ。

今は剛は気持ちをファンに伝えられるようになっていて、仲間も増えたから大丈夫になった。

番組後半には、剛はリスナーから寄せられた剛の楽曲にまつわるエピソードのメールを紹介し、その曲を書いた時の経緯や曲に込めた想いを語った。

取り上げた曲はアルバム「[si:]」（2004年）収録の「PINK」、アルバム「TU」通常盤（2015年）収録の「Heart Disc」、アルバム「I AND 愛」（2008年）収録の「春涙」、「ソメイヨシノ」（2006年）だった。

また、かけた曲は、アルバム「TU」通常盤（2015年）収録の「いまあなたと生きてる」と「縁を結いて」（2011年）だった。

パニック障害で葛藤していた頃に共感した映画「ローズ」

剛はリスナーから好きな映画を問われて、映画「ローズ」について語った。

「好きな映画いっぱいあるんだろうなと振り返った時に、あるんですけど。若かりし頃に観て悲しくなったというか。『ローズ』（The Rose, 1979年）って映画があるんですけど」

「本当の自分を理解してもらえない、シンガーの。マネージャーやったりとか、ファンやったりとか。いろんな人たちに、本当の自分を理解してもらえない葛藤みたいなのが描かれているところがちょろちょろあって。身体を壊しながらも。主人公は確かドラッグとかありましたけど。身体を壊しながらステージに立たなければならない」

「自分自身がパニック障害の時にたぶん観てるんだね。自分のさ、思ってることをさ、素直に言っちゃいけなかったり、アイドルぽくないとか、いろいろな概念が邪魔してさ。アイドルやからこれがあかん、ジャニーズやからこれがあかんて誰が決めるのさっていう。そういうもんやから、そういう空気やからって。知らんしって」

「そんな時に、僕本当はこうやねんとか、ファンの人に伝えたかった、いろいろ。でもそれ言っちゃいけないし、言えないし。そんな中で、この『ローズ』って映画観て、何か分からへんけど、共鳴する部分が若干あったのかな」

動物園や水族館の見世物の生き物が哀しく見える→芸能人と重なる

剛は、動物園や水族館の見世物の生き物が、芸能人と重なって哀しく見えることがあるそうだ。

「これね、『あ、分かる』っていう人、業界の人に多いんですけど、動物園とか水族館行くと、自分と重なっちゃうんですよ、動物とか生物見た時に。『あ、いるいる！』とか、『あ、立った、立った！』とかあるじゃないですか。あれがめちゃめちゃ怖く見える時とか、哀しく見える時があって。あとは『はい、ポーズ！』とか言って、その動物がそのポーズをしたりとか」

「信頼関係がそこにあるとか分かるねんけど、本当にこの子はそれを求めてるのかなとか。外敵がいない中で過ごせるっていうことの幸せもあるとは思うねんけどとか。いろんな気持ちになっちゃう」

「自分が古代魚飼いたいと思って飼う時も、だからすごい悩んで。これは自分の気持ちと反するかな、みたいな。でも、この子は僕が飼おうが飼わまいが、ずっとこういう人生、魚生というか。だったら、僕がそばに置いてあげることで、育て方とか気持ちの持ちようは違うはずだと思って、それで一歩踏み出して古代魚飼うということになったんですけど」

「何かちょっと重ねちゃうみたいな癖があって。だから、動物園とか水族館好きなんですけど、動物好きやから。でも、すげえふと哀しくなったりするっていうね」

「自分に動物の声が聞こえる能力があったら、聞きたいなと思ったりしちゃうよね。それで飼育員の人に伝えて。『何か、こう言ってますよ』って。分かってしまったら、もしかしたらそういう施設じゃなくなってしまうかもしれないけど、本当の声聴こえちゃうとね。僕も魚を飼うなんてことしないほうがいいんじゃないかとなるかもしれないけど」

「この子たちの本当の声って聴けないまま、『わあすごい！』って拍手してるって、すごい怖いことやなと思ったり。僕だけでもいいから、そういう気持ちにふっとなってる人がいれば少しは救われたりしないかな、ぐらいな気持ちでぼうっとそこに立ってしまう」

「そうすると、何か知らんけど、テレパシーが通じたのか、寄って来たりする。プチ・ムツゴロウさん。『どしたん？』とか。『大変やけど、こういうふうに思って通じ合ってる人もいるから』って、何となくテレパシーの会話をして。『また来れたら来るね』みたいな感じで、その場を後にしたりとかするんですけど」

「そういう気持ちっていうのが、常々あるんですよ、どうしても。だから、向いてないと思う、この仕事。こんな気持ちになっちゃうから。そんな気持ちになるぐらいやったらやめろよって人も絶対いるし」

今は気持ちをファンに伝えられるようになり仲間も増えたから大丈夫

剛が辛かった時期を乗り越えることができたのは、自分の想いをファンに話せるようになり、仲間も増えたからだ。

「時間をかけてね、今少しはファンの方々に、自分が思っていることも話せるようになったし。ファンの人もお便りくれるし。素直に生きていたら、愛の詰まった時間もいっぱい作れるようにもなったし。そうじゃない時間の隙間でね、愛の詰まった時間を過ごせるようにはなったから、少しは救われてはいるんですけれども」

「大切な人、仲間とかね、そういう人たちがどんどんどんどん増えて、良かったは良かったかな、という感じで、今は生きてますけれども」

「そういういろんな想いを込めて作ったんだろうなこの曲、振り返るとそんな気持ちになったというか……」

ここで剛はアルバム「TU」通常盤（2016年）収録の「いまあなたと生きてる」をかけた

ファンによる剛の曲の思い出エピソードと、剛が曲に込めた想い

剛はリスナーから寄せられた剛の楽曲にまつわるエピソードのメールを紹介し、その曲を書いた時の経緯や曲に込めた想いを語った。

アルバム「[si:]」（2004年）収録の「PINK」

奈良のリスナーが、きれいなピンク色の空を見て、剛が眠れなくて辛かった時に、東京の空が奈良と同じピンクになっていて、奈良と空で繋がっているんだなと思って「PINK」という曲を作った、というエピソードを思い出した、と述べていた。剛はこれに関連してコメントした。

「未だに（ピンクの空を）見ると切ないですね。その時の感じを思い出すっていうか。何とも言えない色っていうか。空がピンク色にホワ～ってなって行く感じ。オレンジとは違う。ちょっと一瞬紫にも似たような瞬間があって、そして藍色というか紺に近くなってほぼ黒くなって行く」

「あの流れが何とも言えないくらい悲しくて。悲しいなと思った時に、空には星が広がってる。その輝きを見てまた切なくなる。この歳になっても好きですね、悲しいねんけど」

「最近はほんとよく、ぼうっと見てますね、空。UFOとか見たらどうしようと思いながら、ぼうっとしてますね。もちろん、ファンの人と繋がってる空なんでね、救われるんですよ。自分の言いたいこと、思ってることを一語一句伝えられなくても、何か飛んで行ってればいいなって感じで、ぼうっと見てるんですけどね」

「あれ、UFO？　飛行機か、みたいなことを繰り返しながら。マジで見たらどうしよう。『うぃっす』って言うべきかな。何百機って出て来たらどうしようとか考えますけど。でも、ちっちゃい頃見てるんでね、めちゃめちゃリアルなやつ。激ヤバなやつ見てるんでね、いるなと思ってるんですけど、あれっきりやな。オレンジ色の発光体でしたけど。次会う時は奈良がいいなと思ってたりするんです。構想があるんです」

アルバム「TU」通常盤（2015年）収録の「Heart Disc」

祖父が亡くなる直前に「Heart Disc」が届き、以前はただいい曲と思ってたけど、その死を境に全く別の曲になったというリスナーのメールが紹介された。剛はこの曲についてコメントした。

「不思議なもんで、命との別れした時にさ、無駄に空キレイになったりするから、何か切ないね。今でも覚えてる。ケンシローが亡くなった時、タイソンが亡くなった時の空、何でこんなにキレイなんみたいな」

「この曲も、ケンシローのことを思って書いてるわけじゃない。自分がおじいちゃんになった時に、自分の孫、子供の家族見たりしてこんなこと想うんかなみたいな。だけど、ケンシローがさ、ぼうっと僕らを見て、こんいうふうに想ってたんかな。犬の歌になっていたりする。不思議なもんやな」

「自分が大切な人が亡くなったり、大切な命が亡くなっても、自分はそこにいると思えば、絶対いるな。ケンシロー通して不思議な体験をめっちゃしてるから。魂としてめちゃめちゃそばにいるよっていうのが、びっくりするぐらいあんねんやんか。聴いている時に思い出したら来はると思う」「この曲を聴いたら会えると思えば、この曲も書いてよかったな」

アルバム「I AND 愛」（2008年）収録の「春涙」

夫を亡くしたリスナーが、手続きで忙殺され悲しむ時間がなかったがこの曲（「春涙」）で泣くことができた、と述べていた。剛は以下のコメントをした。

「この曲もね、心で作ったけどちょっと頭で作った部分もあって。悲しむ間がなかった、そんな感じに作るっていうか。命との別れって、心で書いてしまいそうやけど、とはいえ、頭を使わなきゃそれを受け入れられないものでもあるな、と思って。ハートだけでは潰されてしまう。頭の使って言葉も選んで、心も使って作ったなっていう曲なんですよね」

「この曲もすごいいいなと言ってくださる方が多いんで。ENDRECHERIなんで、REBORNで、『春涙』も、オリジナル音源にするか、ちょっとアレンジを変えてもう一回レコーディングしたいなと思っている曲の一つで」

「今後アルバムに入れて行きたいなと言うことで、エンドリのREにしてるところもあるんで。みなさんがいいよって言ってくれてる曲をリアレンジしたり、ボーカルをリテイクして届けるみたいなことをちょっとできたらいいなと思っている曲の一つでございます」

「ソメイヨシノ」（2006年）

剛ファンだった母を17歳で亡くし、母を思い出せなくなったリスナーが、最後に母と一緒に聴いた曲が「ソメイヨシノ」と述べていた。

ファンなら知っているが、「ソメイヨシノ」は剛が母と花見をしていた時に、あとどれくらい一緒に桜を見れるかなと母が呟いたことで、いつか母が亡くなるという現実を初めて実感して衝撃を受けて生まれた曲だ。

剛は「お母さんが『あんたと桜見れるかな』と言わはったんで、それで、胸が潰れてしまうやん、ということで。そんなこと言わんといてよって。それで書いた曲だから、母が書かせた曲でもあるんですけど」と述べた。また、リスナーに言葉をかけた。

「お母さん母のことを思い出せないっていうのは、悲しみ・痛みに気づくことになるから、それを体がちょっと拒否してるだけなのかもね」「気持ちを逸らせてやることではないよと思うよね」

「ちょっと不思議な感覚やけど、お母さんが僕に言わせてる気が今ちょっとした、僕の声やけど。そういうことって大いにあるから、人間は。お母さんがこのお便りを選ばせてて、僕の身体を通して自分の言葉を僕に『ちょっと言ってもらっていいですか』みたいな」

「今自分が喋ってないって時、結構あるんですよ、昔から。僕はシャーマンではないけど、よくあるんですよね。ステージ立ってても、ワーッと喋ってるんです。誰喋っててんねん？みたいな。誰喋ってるのやろって感じっていうか、結構ある。『縁を結いて』って言う曲。自分が書いたんやけど、誰が書いたんって未だに思ってるから」

「大切な命とのお別れっていうのは、自分のリズムが整う時がくるから。僕もケンシロー亡くなった時、リズム全然取れへんかった、最初は。泣いたけど、家族のほうが泣いてたから涙止まっちゃってた。1年ぐらいで経った頃かな、ようやく泣けた」

最後に剛は「縁を結いて」（2011年）をかけた。

*堂本剛「縁を結いて」通常盤（2011年）

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*堂本剛の2004年8月18日発売の2ndアルバム「[si:]」は人気曲「PINK」などを収録。

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*堂本剛が3枚目のソロアルバムとしてENDLICHERI☆ENDLICHERI名義で2006年3月1日に発売した「Coward」は、ライブでその後よく歌われることになった「これだけの日を跨いで来たのだから」や「ソメイヨシノ（ライブバージョン）」などを収録。

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*堂本剛の2006年2月1日発売のENDLICHERI☆ENDLICHERI名義シングル「ソメイヨシノ」

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*堂本剛が2008年4月2日に244 ENDLI-x名義で発売したアルバム「I AND 愛」は「春涙」「Love is the key」「Help Me Help Me…」などを収録。

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