堂本剛、音楽作りは10代20代の感覚を意識、自分のファンクが変わって行くと期待

2019年1月13日

2019年1月12日のbayfm78「堂本剛とFashion & Music Book」で、堂本剛は心が折れそうな苛酷な仕事の現場での思いやりや気遣いの大切さについて、自分のドラマの現場のエピソードを踏まえて話した。

剛は今の若い人たちが、自分たちの時よりも考え方がしっかりしているとの印象を持っている。剛は音楽を作る際には、10代20代の人たちを意識している。また、若いミュージシャンたちと一緒に仕事をすることで、自分のファンクも変わっていくことを期待している。

筆者個人的にも、剛が書く曲は年寄りくさいサウンドではまずいし、若々しいフレッシュなサウンドであって欲しいと思っている。若いミュージシャンの感性に触れて刺激をもらうことはプラスになりそうな気がする。

かけた3曲は、ミニアルバム「Grateful Rebirth」（2016年）収録の「T & U」、アルバム「TU」通常盤（2015年）収録の「FUNKがしたいんだどしても」、アルバム「shamanippon -ロイノチノイ-」（2014年）収録の「I gotta take you shamanippon」だった。

「幸せを運ぶ近鉄のつり革」

剛は冒頭のトークで、「幸せを運ぶ近鉄のつり革」を紹介した。

「去年の12月から今年の3月14日、『幸せを運ぶ近鉄のつり革』としまして、特殊なつり革を設置した列車が、大阪奈良京都の路線を中心に運行して行きます。合格祈願の77本、恋愛成就の3本、金運招福ということで1本、そして新たに開運招福を祈願するクローバー型のつり革、こちらが4本」

剛はこのつり革と京都の四葉のクローバーのタクシーについて、「そういう情報を得た時に『オレもモオレも』ってどぎつく行くとよくないんでしょうね。ほどよいスピード感でそういう情報に飛びつくのはいいのかなと思いますけど」との考えを示した。

また、「何か機会があったら、近鉄さんともご一緒できたらいいと思いますけど」とも話していた。

ここで剛はミニアルバム「Grateful Rebirth」（2016年）収録の「T & U」をかけた。

心が折れそうな苛酷な仕事環境での思いやり・気遣いの大切さ

剛は、かつてのドラマの過酷な現場の経験を踏まえて、心が折れそうな苛酷な環境にある人に対し、何か励みになるものを差し出すような思いやりや気遣いが大事だと考えている。

「心折れそうな時に、これあるから頑張ろうと。これは大事なことやと思うねんな。たとえば、お芝居でも何でもそうなんですけど、とにかくスタッフさん寝てないんですよ」

「僕らが睡眠時間が1時間半、2時間。たとえばドラマとかやってると。当時僕らは学校に行ってたりするから、1時間半とか2時間が基本。これがずっと続くわけですよ」

「『お疲れ様でした』って、僕は帰ってるけど、撤収作業をして、それからようやくスタッフさんは休みに入るけど、明日のスタンバイ。僕で言うと明日のセリフを覚えるみたいな作業なんですけど」

「どんだけの気持ちでこの人たち踏ん張ってるんやろみたいな。そんな時に、ちょっと差し入れさせてもらったりすると、みんながちょっとほころんだ顔でね『ありがとうございます』って言って、バクバクバクってちょっと食べて『次のシーン行きましょう』気持ちがパーンと切り替わったりとかするから」

「やっぱこういうのは、大事よね。でも、そういう思いやりというかさ、気遣いというかさ、そういうものはどういう関係性・立場であっても、あるべきだよね。あったらちょっと頑張れるもんね。文句も言わんと、はい頑張りますと思うことができたりするしね」

日本の映画やドラマなどの撮影現場は過酷な長時間労働が常態化しているとよく言われているが、剛が連ドラの主演をずっとやっていた高校生の頃は、18歳未満の深夜労働規制も徹底しておらず、今よりもさらに酷い労働環境だった。

自分も大変な状況にありながらも、剛は大変な労働を強いられているスタッフに思いやりや気遣いができる、優しい人だ。

辛い人が救われやすい環境になってきたが、まだ不十分

剛は職場でパワハラのような問題に苦しむ人が救済されやすい環境になってきたことを歓迎しつつも、まだ言いにくいのではないかとの認識も示した。

「今、こうじゃなきゃいけない、ああじゃなきゃいけないっていうようなことが多くなってきたじゃないですか。それによって救われる人ももちろんいっぱいいるし」

「たとえば、会社でね、権力ふりかざしてね、何かやられたって。それをしんどいです。そういう主張できるという時代でもあるから。それはとてもいいことやと思うんですよ。人の命を救うことができる可能性が上がったと思うんでね。あとは、自分で自分の身を守れる可能性が上がっているから」

「でも、それをなかなか言い出すまでが難しい。もうちょっと言えるような状況になっていくと、もっといいのかな、と思ったり。それで言うことが言えなくて、精神的にまいっちゃう、それで仕事ができなくなるって人がいる」

「その人の話で終わっちゃうでしょ。なぜそうなったんですかの話まで行ってないから。実は会社がこうこうこうでっていう話で。そういう状況で、精神的に追い込まれたんですね、じゃあ休んでいる期間の補償を、とあるべきかなと思いますけど」

笑いの文化について、剛は「厳しいところを、角を丸くできたりする。笑いは人を救うっていうね、世界を救うってやっぱりあるなって僕は思ってますからね」と述べた。

「童心のまま大人になることが悪いことではないと僕は思いますけどね。子供に教えられることは沢山あるしね」

剛は大人と子供の区別はないほうがいいとしつつも、「成人される方はまた違うステージに行くわけですから、楽しみが増えるでしょうし」「大人になったからと言って大人だからこうしなきゃいけないみたいなことをと思う必要性は僕はないと思ったりする」と述べた。

ここで剛はアルバム「TU」通常盤（2015年）収録の「FUNKがしたいんだどしても」をかけた。

今の若い人たちは昔よりしっかりしている、曲作りは10代20代を意識

剛は今の若者が昔に比べてしっかりとした考えを持っているとの認識を示した。

「今の人たちは十分大人ですけどね。めちゃめちゃ大人と思いますけどね。僕らが10代の時と、20代の時と考えると、めちゃめちゃ大人やと思いますけどね。下手したら今の30代40代よりも全然大人やと思いますけどね。しっかりしてるなって人は、しっかりしてるし。考え方ちゃんと持ってるし」

「僕も音楽作る時とか、お仕事する時もそうなんですけど、結局ね、やっぱり30代40代50代の人たちに囲まれることが多いから。しゃあなしと言えばしゃあなしですけど。ここにもしね、10代20代ばっかりがいたら、どんなもん作るかな、とかっていう感覚で作るようにしてますね」

「きっとこの30、40、50ぐらいの人は『何がそれおもろいの？』とか『何が新しいの？』と言うと思うけど。ここに10代20代のぐらいの人たちばっかりがいて自分がものつくると考えたら、こういうほうがいいかもっていうふうにして作るようにしてるんで」

「ふと気づかされることいっぱいあるんでね。面白いですね、何かいろいろ話聞いたりすると。え、そんな感じなん？オレが20歳の時そんなんじゃなかったな、めちゃめちゃ大人の考え持ってるやんって。だから逆に仕事したいなとか思ったりするんですね。すごい大人やから」

「そういう意味では、もうこっから大人とか、ここまで子供は、なくていいのかなって思うぐらい、みんなすごいしっかりしてるなという印象がありますね」

「今年また新しい仲間が増えたりとかするかもしれないですね。20代ぐらいの。『この人ちょっと一緒に剛くんとやってもらいたいねん』って何人か言ってもらってる人とかも実際いるんでね。『じゃあ一回やらさせてもらいましょうか』みたいな話とかさせてもらっている人も何人かいるんでね」

「そういう人たちとの出会いがあったりしながら、自分のファンクとかがね、変わって行くと。そういう人たちにまた方法を教えてもらうというね。『これ伝えたいなら、これぐらいまでやっていいんじゃないですか？』とか。『ここは我慢しましょ』って言われるとか。『そうね、じゃあ我慢しようか』とかって言いながらもの作って行けたら、また新しいファンク作れるんじゃないかなと思ったりするし」

もちろん年を重ねた経験豊富なプロならではの熟練・成熟度には高い価値があるが、一方で、剛は新しい曲を作って行かなければならない。筆者の個人的な意見だが、剛が新しく作る曲が年寄りくさい感じがするようではまずいし、若々しくフレッシュなサウンドの曲を書き続けて欲しいと思う。この点、若いミュージシャンの感性に触れて刺激をもらうことがプラスになるのではないか。

剛はミュージシャンとしての抱負や生き方的な話もした。「何よりも身体が動いて楽しいなみたいなことをただやりたいだけなんですけどね。それをやりたいだけやのに、これだけ考えてやらなきゃいけないっていうのは、最終的に仕上がったものがちょっとね。体がやらしてもらえるものになるかというと、難しいやり方だなと思うんで」

「なるべく大人になりますけど、なるべく童心のままでファンク楽しいな、音楽楽しいな、何かみんなと出会えて幸せやな、嬉しいな。生きるってものすごく大変なことやけど、でも楽しいなって思えるように、もっともっと過ごしたいな。何かそんなふうに過ごせたらいいよなと思いますね」

さらに剛は、明後日の成人式に向けて、成人する若者に向けてコメントした。「これから成人される方々に、いろいろな人生があるともいますけど、自分の人生一回しかないから、素敵な人生を送って欲しいなと思いますね」

最後に剛はアルバム「shamanippon -ロイノチノイ-」（2014年）収録の「I gotta take you shamanippon」をかけるに当たり、この曲についてこう説明した。

「僕たちの生まれた国、日本だったり、この地球だったりね、僕で言う奈良、みなさんでいう故郷があると思いますけれども。そういうところに今も息づいているね、心眼で見る部分っていうか場所。今一度グルーブすることで新しい未来がやってくるな、みたいな。そんなところにみんなと一緒に行きたいな。この曲を歌っている時に目の前にいるその人たちと一緒に行きたいという想いを込めて作った曲」

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堂本剛
2/9（土）19:00～文化放送　「剛とツヨシ　漢字とカタカナ。#1.5」未公開音源

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*堂本剛が3枚目のソロアルバムとしてENDLICHERI☆ENDLICHERI名義で2006年3月1日に発売した「Coward」はライブでその後よく歌われることになった「これだけの日を跨いで来たのだから」や「ソメイヨシノ（ライブバージョン）」などを収録。

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