ジャニーズ15組76人がミスチル櫻井和寿提供「smile」を歌う企画―素晴らしい趣旨で楽しみだが違和感も

（目次）・TOP
・素晴らしい社会貢献で曲も楽しみ
・事務所ではなくタレントが前面に出るべきでは？　事務所のイメージアップ作戦の様相
・なぜこの15組・76人なのか？ NEWS手越がいて大丈夫か？
・『smile』CDは一体何枚売れれば事務所的に成功か？

ジャニーズ事務所所属タレント15組76人が期間限定ユニット「Twenty★Twenty」（トゥエンティー・トゥエンティー）を結成して、Mr. Childrenの櫻井和寿が作詞作曲したチャリティーソング「smile」を歌うことが決定した（日刊スポーツの2020年5月13日付記事など）。

既に順次レコーディングに入ったという。収益金は新型コロナウイルス感染拡大に対する支援活動「Smile Up! Project」に活用される予定だ。

かつての世界規模の「We Are The World」とか、ジャニーズで言えば阪神大震災後のチャリティー活動での期間限定ユニットJ-FRIENDSを、想起させる。

素晴らしい社会貢献で曲も楽しみ

この大変な局面にあって、多くの芸能事務所やその他エンターテインメント関連企業は大幅な業績悪化で青息吐息だ。そんな中で、無料ライブ配信に加え、今回のようなチャリティー事業を立ち上げて社会貢献できるとは、さすが経営基盤が盤石なジャニーズ事務所だ。

ミスチルの櫻井の曲提供も、この未曽有の難局のチャリティー事業ということでなければ、あり得なかっただろう。どんな曲か楽しみだ。

ということで、今回の企画が社会貢献として素晴らしい趣旨のものであることに異論はなく、曲も楽しみであることを、まずは強調したい。

その上で、若干の違和感を挙げておきたい。

事務所ではなくタレントが前面に出るべきでは？　事務所のイメージアップ作戦の様相

ジャニーズ事務所は2016年のSMAP騒動の頃に、ブラックなイメージができた。さらに、2019年7月には退所した元SMAPメンバー3人の番組起用を妨げるような圧力を民放テレビ局にかけたことが独占禁止法違反（不正な取引方法）につながる恐れがあるとして、公正取引委員会から注意を受けていたことが、発覚した。

ジャニーズ事務所のそのようなネガティブなイメージが、今回の新型コロナウイルス禍に際して、他の体力のない芸能事務所ではなかなかできない社会貢献活動を大々的に行うことで、いっきに大幅に改善し、「素晴らしい企業！」と称賛されることになる。

海外では、チャリティープロジェクトにおいては、芸能事務所ではなく、有名芸能人が前面に立って活動をし、寄付をするのが普通だ。

所属タレントの嵐などではなく、ジャニーズ事務所という芸能事務所が前面に立って大々的にチャリティー活動を行っているのは、正直驚く。ジャニーズ・タレントよりも、事務所の名誉が優先されているようにも感じる。

76人のユニット名「Twenty★Twenty」は、故ジャニー氏がジャニーズJr.20人2組を東京五輪のために選抜する構想だったが、今回のプロデューサーの滝沢秀明副社長は、そのネーミングを今回のチャリティー・プロジェクトに使うことにした。ジャニーズに関心のない人にはどうでもいいことだが、ジャニーズにとっては意味のあることだ。

なぜこの15組・76人なのか？ NEWS手越がいて大丈夫か？

今回の15組・76人には、CDデビューの順に、1995年のV6から2020年1月のSnow ManおよびSixTONESまでのグループと、NEWSを脱退してソロ活動を行っている山下智久が選ばれた。

あれ、元SMAPの木村拓哉やTOKIOや東山紀之はいないのか？　というのが筆者の最初の感想だった。また、ソロでCDを出している中山優馬も含まれていない。

人数が多くなりすぎるから、どこかで線引きをしたかったのだろう。でも、76人全員集まって歌えば「密集」になってしまうから、76人のシーンを考える必要は本来なかったのでは？　だったら、デビュー済み所属タレント全員でもよかったのではないのか？

もしかしたら、新型コロナウイルス禍が解消して集客ライブが可能になった場合には、大晦日の「NHK紅白歌合戦」に76人全員出演させるつもりなのだろうか？ 76人だったら、ギリギリNHKホールのステージに収まりそうだからだろうか？

一方、ネットでは、ちょうどタイミング悪く自粛期間中に女の子たちを集めて飲み歩いていたと2020年5月13日発売の「週刊文春」に暴露されたNEWSの手越祐也が含まれていることが、批判されている。

筆者はその前から、NEWSの4人のうち増田貴久がアカペラ歌唱、小山慶一郎は手話で（追加: さらに5月13日に加藤シゲアキはオリジナル絵本読み聞かせで）、YouTubeのJohnny’s Officialのチャンネルの「Smile Up! Project」動画に登場したものの、グループとしてNEWS全員が登場できていないのは、やはり手越の自粛期間中の行動（安倍昭恵夫人のお花見会等）の影響があったんだろう、と推測していた。

今回の文春記事さえなければ、「Smile Up! Project」動画が手越抜きというペナルティーで解決解決済みだっただろうに。筆者は今回手越を排除すべきとまでは思わないが、そう思う人がいても仕方がない。

みんな、医療崩壊を起こしてはいけないからと政府の指示に従い、出かけたいのを我慢して家で過ごした。なのに、お構いなく女の子を集めて飲み歩いていた人物が、いけしゃあしゃあと「お家にいようね」などと歌うとは言語道断――と考える人も、そりゃあいるだろう。